フランス旅行は後半のプロヴァンスとコート ダジュールへ。先ずはパリからニースまで飛行機で飛び、そこでレンタカーを借りる。そして、プロヴァンスのBonnieuxに2泊、コート ダジュールのEzeに2泊、ニースに2泊という日程だ。パリの後半はUBERを使うことが多かったが、UBERは時間指定が出来ないので、ホテルからシャルル ドゴール空港までは、ホテルに時間指定でタクシーを予約してもらった。
今回Hertzで借りたクルマはシトローエンのSUV。シトローエンもSUVも初めてだ。操作方法やGPSの使い方に判らないところが有り、Hertzの営業所から出発するまで少し時間が掛かってしまった。車体が大きく、ハンドルを切って少し経ってから車体が付いてくるような運転感覚に、最初は違和感を覚えた。この運転感覚には程なくして慣れたが、車幅の広さには中々慣れず、日本と異なる右側通行ということもあり、車線の右側に寄り過ぎることが多かった。
ヨーロッパではディーゼルも広く使われているが、この車両はガソリンを用いる。給油の際に燃料を間違えたら大変なことになるが、車体の給油口の側にE10と燃料種別が書かれており、給油所(基本的にセルフ サービス)では、その番号種別の燃料ホースを選べば良い。
La Bastide de Capelongue
ボニューでは15年前と同じCapelongueに泊まった。前回泊まって以降、敷地と建物は増築され、レストランはミシュランの一つ星から二つ星に格上げとなっている。しかし、素朴で気持ちいい雰囲気はそのままだ。WiFiは提供されているが、部屋の電源コンセントは多くないので、電子機器を沢山持っている人は充電のやり繰りが必要になるかも知れない。
LE DOMAINE DE CAPELONGUE
★★★★★
2泊とも夕食はメイン ダイニングで摂った。素朴だが素直に美味しいと思える料理だ。
★★★★.
プロヴァンスの二日目は、クルマで小さな村を回った。
Saignonは、道すがらの険しい岩肌と眺望が印象的だ。
★★★★★
Aptも小さな村。Saignonより店の数は多いが、日曜日のせいか、閉店している店が多い。ホテルで朝食を摂らなかったので、ここのカフェで軽くパンを摘む。
★★★★.
Carpentrasも店はそこそこ在るが、日曜日のせいか閉店している店が多い。この辺りは余り観光化されていないのだろうか? 例外的に営業していたカフェでお茶をした。
★★★★.
Uzesでは旧公爵邸(?)を訪れ、そこの塔に登った。階段が狭く急で苦労したが、塔の上からの眺望は格別だ。
★★★★★
Capelongueを2泊した翌日は、チェックアウト後、エズへ向かう。
先ずは、Bonnieuxの村へ。小さな村だ。
★★★..
近くのLourmarinにも寄る。ここのカフェでブランチ代わりの軽食を摂った。
★★★★.
Château de la Chèvre d’Or
Ezeでも15年前と同じChâteau de la Chèvre d’Orに泊まった。断崖絶壁から眺める地中海は絶景だ。海が美しい季節は終わり掛けており、海の彩度は若干低い。このホテルも10月の終りから来春まで休業に入る。このホテルの浴室はジャグジー付きで高級感があるが、使い勝手は余り良くない。
Château de la Chèvre d’Or
5 star hotel Château de la Chèvre d'or | Luxury hotel on the French Riviera
★★★★★
エズの頂上の植物園は眺めが良く、迷路のように入り組んだ村を散策するのは楽しい。
★★★★★
エズの二日目は、クルマでMentonとモナコまで足を伸ばした。
Menton マントンはレモンの産地として有名だ。ジャン コクトーと関わりの深い町だそうだが、コクトー関連の美術館などは改築中だったり休館日だったりして、見ることはできなかった。市場を見て、その後、街を散策した。建物はオレンジやピンクの色調のものが多い。名物らしきレモンのジャムを買い求めた。
★★★★.
モナコでは、海洋博物館の駐車場にクルマを停め、プチトレインで街を一周した。トレインといっても線路を走るのではなく、自動車と同じく道路を走る。その後、海洋博物館近くを若干歩いてみた。マントンと異なり、白あるいはピンクでも薄い色の建物が多い。カジノには興味が無かったので、そちらの方には寄らなかった。
★★★..
Ezeで2泊しチェックアウトした日は、ニースへ向かう道すがら、Saint-Jean-Cap-Ferratにあるロートシルト(ロスチャイルド)家の邸宅と、Villefranche-sur-Merという港町を訪れた。
ロートシルト家の邸宅は高級別荘地の中でも一際大きい優美な建物で、庭園は異なるテーマの幾つかの区画に分かれている。昼食代わりに食べたキッシュも美味しかった。
★★★★★
Villefranche-sur-Merは落ち着いた港町だ。漁船は殆ど無く、プレジャー ボートが多い。金持ちが遊ぶ港なのだろうか? 残念ながら途中で強い雨が降り出し、あまり歩くことができなかった。
ニースに入り、ホテルにチェックインする前に、旧市街の丘に登り、墓地の側の通称Castle Hillから市街を眺めた。この頃には雨も上がり、絶景を楽しめた。
★★★★★
Hyatt Regency Nice Palais de la Méditerranée
ニースで2泊したのは、ハイアット リージェンシー。アメリカ系のホテルなので若干情緒には欠けるが、その代わり機能的だ。Promenade des Anglais沿いの立地も良く、シー ビューの部屋の眺めは良い。小さいながらもジムが有り、数日振りに軽く運動できた。クルマが停めにくいところで、直ぐ側の地下駐車場(1日25ユーロ)に停めるのは大変なので、ヴァレー パーキング(1日30ユーロ)を利用した。こういう場合にチップを払うべきかどうか悩む。有料なので、二日目にクルマを出すときはチップを払わなかったが、スタッフの表情が硬い感じがしたので、翌日クルマを出すときはチップを支払った。
ヴァレー パーキングに限らず、チップは難しい。ネットを見ると、フランスではチップは不要という意見も見掛けるが、僕はフランスの会社の日本支店に勤める知人の意見に従って、ホテルのハウス キーパーやベルにはチップを払った。一回当たり2ユーロにした。レストランでは料金にサーヴィス料が含まれているので基本的にチップを払わなかったが、これが正しかったかどうか判らない。
Hyatt Regency Nice Palais de la Méditerranée
★★★★.
ニース1泊目の夕食は、Le Millésimeというカジュアルなレストランで摂った。歩ける距離でないのでUBERを利用した。ニースでもUBERは普及している。
★★★..
ニースで1泊した翌日は、クルマでロザリオ礼拝堂 Chapelle Du Rosaireとアンテイーブ Antibesの町を訪れた。
ロザリオ礼拝堂は15年前にも訪れたが、大変印象的だったので再訪した。礼拝堂内は写真撮影禁止だが、アンリ マティスが制作したステンド グラス越しに眺める光が美しい。宗教心の薄い僕でも、こういう礼拝堂は是非訪れたい。
★★★★★
ロザリオ礼拝堂には、15年前は紙の地図を頼りに苦労して辿り着いたが、今回はiOSの地図をCarPlayでクルマに接続して、楽に着くことができた。iOSの地図は、パリでもプロヴァンスでもコート ダジュールでも、かなり実用的だった。パリでは徒歩はもちろん地下鉄の乗り換えにも完全に対応していた。プロヴァンスやコート ダジュールでは最初はクルマのカー ナビゲーションを利用していたが、途中からiOSの地図を使うようになった。ラウンド アバウトのどの出口で出るかにも完全に対応している。
ロザリオ礼拝堂続いてアンティーブへ。ここは港町でVillefranche-sur-Merより多少大きい。ここも漁船は殆ど無く、プレジャー ボートが多い。大型ヨット(クルーザー)も何隻か見かけたが、富豪が遊ぶ港なのだろうか? 残念ながら到着少し前からかなり強い雨が降ってきて、街歩きを楽しめなかった。
雨宿りを兼ねて2時間ほど昼食を摂っているうちに雨が小降りになってきたので、町外れのピカソ美術館まで足を運んだ。3階建てだが、ピカソの作品はその内1階分のみであり、他の階は他の作家の作品を展示していた。ピカソの名前を銘打った美術館なのでピカソ作品が充実していると期待していたが、肩透かしを食った感じだ。パリの方が沢山のピカソ作品を観られる。
★★...
ニースまで戻り、郊外のアンリマティス美術館 Musee Matisseへ。大作が幾つか有るが、作品数が凄く多い訳ではない。マティスもパリの方が沢山の作品を観られるだろう。でも、ここの美術館は庭園も附設しているのが良い。
★★★..
いったんハイアット リージェンシーに戻り、クルマを置いてスーツに着替え、近くのLe Negrescoホテルまで歩いて行き、そこのメイン ダイニングのLe Chanteclerで夕食を摂る。老舗ながら繊細で現代的な料理が素晴らしい。
★★★★★
ニースは2泊だったが、3日目はフライトの出発時刻が20:30だったので、夕方近くまでニースに滞在できた。ホテルには3泊分の料金を払ってレイト チェックアウトにした。自分で直接ホテルに交渉したら、うまく行けば割増料金無しでレイト チェックアウトにできたかも知れないが、旅行代理店経由で予約したので、その辺りは柔軟にはいかない。
先ずはPromenade des Anglaisの海岸を散策する。砂浜でなく砂利浜だが、僕は海水浴しないので関係ない。ジョギングしている人が多い。
★★★★★
その後プチトレインに乗って旧市街を一通り回る。概要を掴むのにはちょうど良い。トレインといっても線路を走るのではなく、自動車と同じく道路を走る。
★★★★.
その後UBERでマルク シャガール美術館へ。作品数は多いわけではないが、少なくもない。
★★★★.
再度旧市街に戻り、今度は歩いて回った。ニースは大都会とまではいかないが、それなりの規模はあり、街並みは変化に富んでいる。
★★★★.
フライトが遅いので、事前に軽く食事を摂ろうと思い、行き当たりばったりで入った店でタパスを食べたが、かなり大味だった。
ホテルに戻り、シャワーを浴びてからチェックアウトし、レンタカーで空港へ。今までも何度か感じたが、ニースが交通渋滞が激しい。余裕を持って出発して良かった。
ニース空港に何とジェイミー オリヴァーの店が在った。数ヶ月前に倒産したと報道されたが、ここは運営主体が異なるのだろうか? Jamie's DeliとJamie's Italianの2点があり、イタリア料理店の方でパスタを頼んでみた。味はチェーン店の水準で、セレブリティ シェフの味を期待すべきではない。
日本への帰国は特にトラブルは無かった。
15年振りのフランス旅行だったので、変わっている点と変わらない点が有った。
街並みは殆ど変わらない。パリの中心街は新しい高層建築が建つ訳でもなく、15年から20年前と同じ印象を受ける。ボニューやエズやニースも同様だ。
料理は大きく変わった。個々の店に流行りすたりに留まらず、和食の影響か味が軽くなってきている。と言っても、過去との比較の話しであり、日本のフランス料理に比べれば重めだが。ドレス コードは大幅に緩くなってきている。僕の古い常識では、星が複数付くような店では男性客はスーツを着用しネクタイを絞めるのが当たり前だった。今回レストランはWebサイト経由で予約したが、全ての高級店の予約画面には、男性客に対しジャケットの着用を要求する注意書が有った。そこで僕はスーツとネクタイを持参したのだが、実際には三つ星レストラン でもネクタイを絞めている男性客は僅かで、ジャケットを着用しない男性客も珍しくない。レストランの客の中で僕の服装が一番フォーマルという場面が何度も有った。レストランは完全に禁煙となっている。前回パリでランブロワジーに訪れた時は、食後に葉巻を吸っている男性客が多く、僕も真似をして葉巻を吸ってみたのだが、今回は喫煙客は全く見かけなかった。
フランスは以前からクレジット カードが普及していたが、今回は非接触決済がかなり普及していた。僕の持っている日本で発行されたカードは、そのままでは非接触決済に対応していないが、マスターであれば、Apple Payとして非接触決済を使える。多くの美術館でApple Payが使えた。特に高速道路でApple Payが使えたのは便利だ。以前は現金しか使えず、機械に現金を投入して釣りが出るのを数秒間待ったり、下手したら釣りが出てこなかったが、今回は多くの高速道路でApple Payにより素早くゲートを通過できた。ただ、何故か幾つかの小売店では、利用可能額の制限に引っ掛かったらしく、追加で暗証番号の入力を求められた。日本では数万円の決済も問題ないが、フランスでは数十ユーロで暗証番号の入力を求められることがあった。この差の理由がどこに有るのか判らないが、これでは使い勝手が大幅に悪くなってしまう。
地下鉄が綺麗になったのと、iOSの地図の使い勝手が良かったのは、既に書いた通りだ。
街並みも美しく、料理も美味しい。久し振りのフランスは大いに堪能できた。日本に帰ってきたばかりだが、またフランスを訪れたい。