Manoir(マノワ)はジビエを得意とする広尾のフランス料理店だ。壁は茶色の木に鏡をあしらい、黒のベンチシートを配している。歴史の浅い店ながら、老舗のような落ち着いた風格が有る。
コースを頼んだが、最近の店にしては珍しく、皿毎の選択肢がかなり多い。
冷製の鮑(追加料金)は、適度な弾力感があり、肝を使ったコンソメ風のジェレの口当たりも良い。
すっぽんはフリットにし、軽やかな舌触りだ。
金目鯛は、浅からず深からず、適度な火入れだ。
主菜のヒグマは、若干ボソボソとした繊維感で、少し匂いもするが、赤ワインを使って食べ易くしている。
ワインはお任せにしたが、主菜に合わせたグラスの赤ワインの選択肢が6種(ブルゴーニュ2本、ボルドー2本、シラー2本)も有ったのには驚いた。
最近の店にしては珍しく、フロマージュをワゴンで供する。
堅実な味の紅玉のコンポートとお茶菓子とハーブ ティーで食事を締めた。
接客も好印象だ。給仕達は料理を良く理解しており、込み入った質問をしても、いちいち厨房に聞きにいかず即答できる。客への接し方も、自然かつ親しげだ。
内装や料理の質を鑑みると、価格は割安に感じる。コロナ禍でも満席なのは、むべなるかな。
7/10