津の守坂 小柴(つのかみざか こしば)は、6席のカウンターと一卓のテーブルのみという小さな店だ。二種類のコースの内、品数の少ない方にしたが、量は十分だった。
最初の皿は、蟹の身や雲丹にジュレを掛けたもの。有りがちな品だが、茹でて冷やしたホワイト アスパラガスを添えているのが斬新だ。
椀は燻った金目鯛と椎茸。燻った香が良く、出汁も上品。
造りが二皿続く。最初は上質なマコガレイと鮟肝。 続くイサキは、軽く炙っており、卵の黄身を溶いた醤油に付けて食べる。余り見かけない食べ方だが、炙ることによりイサキの脂が更に美味しくなり、黄身との相性も良い。
新鮮そうな蛍烏賊が三杯出てきて、刺身で食べるのかと思いきや、その横に熱した石が置かれる。蛍烏賊を片面ずつ15秒程石の上に置くと、微かに煙が立ち上り、味噌が溶け出してくる。この味噌が素晴らしい。視覚的にも楽しい。良くぞ、こういう調理を思いついたものだ。
稚鮎は焼いた後に軽く揚げており、複雑な食感を生み出している。
肉厚の太刀魚は、焼いた後に軽く炙っているのが効果的。
アイナメは、葛餡仕立てだが、この餡もとても良い。
ご飯は、白米と親子丼の二種類があり、後者を選択した。卵のトロミに陶然とする。
デザートは複数の果物のジュレ仕立て。なんとトマトも入っているが、違和感の無い自然な甘さ。
料理は素材も良く、また他の店では見かけないような少し変わった調理法も上手く用いている。再訪したい。
9/10
新宿区曙橋駅から5分,本格的な日本料理を楽しめる津の守坂小柴