Le Tailleventは、第二次世界大戦直後に創業した老舗のフランス料理店だ。長い歴史の間に浮沈もあったようだが、現在は若手のシェフを登用して、時代に合った料理を供している。
店は凱旋門から歩いて行ける距離に在る。広い店内は幾つかの部屋に区切られ、それぞれ内装が異なるみたいだ。我々が通された部屋は、白い天井、文様の施された木の壁、巧みな間接照明と、抑制された上品な高級感がある素晴らしい内装だ。ピアノ曲のBGMが低い音量で流れている。
男性客の大部分がジャケットを着用し、ネクタイの着用率は半分程度。僕はジャケットにノー タイで臨んだ。
コースもあるが、メニューの構成を見ると、コースよりアラカルトを主体としているみたいだ。男性客のメニューにしか価格が表示されていないのは前時代的。
2021年に就任した新しいシェフは、前菜も主菜も一つの素材を異なる調理方法で複数の皿で供するので、アラカルトであっても皿数は多くなる。
アミューズ ブーシュは中々のもの。グジュールが大きめで意外と分量が多い。
僕が選んだ前菜はラングスティーヌ(アカザエビ)。とても良い素材を4皿で供する。それぞれ、火加減や合わせるソースを若干変えて、多様な味を楽しめる。甲殻類特有のソースの香りが素晴らしい。
主菜の鶏は3皿で供する。素材はとても柔らかい。これもソースが良く、重くならずに存在感のあるソースだ。鶏の味自体は淡白なので、ソースとトリュフで味に重みを与えている。
デセールとして選んだメレンゲは、3皿構成。上品なメレンゲの下に、柑橘類を配している。
給仕の人数は多く、接客はプロフェッショナルでありつつ、適度に親しげ。
素晴らしい雰囲気の中で、上質な料理を楽しめる。
9/10
Restaurant Le Taillevent | OFFICIAL SITE | Fine Dining & Wines