バベル

Alejandro González Iñárritu, Babel (2006)

関係を修復すべくモロッコを旅する米国人夫婦。羊を襲うジャッカルを撃つために銃を入手したモロッコの牧畜民。息子の結婚式と子守の仕事が重なり困ってしまう、アメリカのメキシコ人家政婦。性への好奇心が高まる日本の聾唖の女子高生。一見関係なさそうな複数の物語を徐々に縒り合わせていく手際が見事だ。

 

コミュニケーションの不全、軽率な行動が引き起こした深刻な問題など、登場人物たちは人生の不条理に直面するが、確かな演出と映像により、観客はそれらの不条理を我が事のように受け止める。ブラッド ピットやケイト ブランシェットといった有名スターから菊地凛子(拗ねた目つきが印象的)、モロッコ人の子供まで、俳優達は迫真の演技を見せる。

 

本質とは関係のない難点を言うなら、最後の場面で見られる菊地凛子の裸体だろうか。まだ若いはずなのに崩れた体形で、ちょっと興醒めだ。

★★★★★