2013-01-01から1年間の記事一覧

黄金を抱いて翔べ

井筒和幸 「黄金を抱いて翔べ」(2012) 数人の男たちが銀行の地下にある金(きん)を強奪する過程を描く作品。 幸田役の妻夫木聡は余り悪人という感じがしない。もう少しアクの強い俳優の方が良かった。この配役は本作の大きな欠点だと思う。 強盗団の他の俳優…

少年と自転車

Jean-Pierre Dardenne, Luc Dardenne, Le gamin au vélo (2011) 父親に捨てられて施設に収容されている少年セリルは、心がすさんでいる。偶然知り合ったサマンサという女性に里親になってもらいつつ、自転車に乗って父親を探し続ける。 訪ね当てた父親に連れ…

Narisawa

ここで夕食を摂るのは3回目だ。前回来たのは3年前だが、この3年間で店の趣が若干変わったようだ。店名もLes Créations de NARISAWAから単にNarisawaに変わっている。 前回は給仕たちがスーツを着ていたのだが、今回はセーター姿だった。スーツの方がシャ…

洲崎パラダイス

川島雄三 洲崎パラダイス (1956) 地方から上京してきた義治(三橋達也)と蔦枝(新珠道代)は、仕事を求めて赤線地帯の洲崎を訪れる。首尾良く飲み屋の仕事を見つけた蔦枝は、男客のあしらいが巧く、小金持ちの客に鮨を奢っておらったり、アパートまで借りてもら…

彼女が消えた浜辺

アスガー ファルハディ درباره الی, 彼女が消えた浜辺 (2009) 単純な題材を味わい深く仕上げた佳作。 舞台はイラン。複数の男女が、一緒に休日を過ごしに貸別荘に向かう。何人かは夫婦と子供だが、男女一人ずつ独身者が居る。 クルマに乗っている間の彼らの…

Bistro Iwata

この店には恐らく10回ほど通っただろうか。こういう安くて美味しい料理店が家の近所に在って幸せだ。 前菜は、フォアグラとリゾットを初めて頼んだ。リゾットがやや柔らかめだったが、焼いたフォアグラとの相性は抜群だ。 主菜も初めて鹿のローストを食べた…

オンディーヌ 海辺の恋人

Neil Jordan, Ondine (2009) アイルランドの漁師シラキュース(Colin Farrell)は、ある日、網を見て仰天した。なんと人間の女(Alicja Bachleda)が引っかかっていたのだ。女は記憶を失っており、自分の本名も覚えていないが、オンディーヌと名乗る。 彼の地の…

リンカーン

Steven Spielberg, Lincoln (2012) 市民戦争(南北戦争)と奴隷解放は、米国の歴史の中で特に重要な出来事だろう。そして、奴隷解放を成し遂げたエイブラハム リンカンは、偉大な大統領と言われている。 そのリンカンの奴隷解放を描いた本作は、誠実な映画と言…

男子テニス2013年

今年の話題は、ラファエル ナダルの復活に尽きる。現在のATPランキング制度が始まったのは1973年だが、一度失った年末1位の座を取り戻した選手は、この40年間でフェデラーとナダルしかいない。しかもナダルの復活は2回めだ。 去年のウィンブルドンの後、怪我…

舟を編む

石井裕也 「舟を編む」 (2013) このような感想は監督の本意でないかもしれない。だが、この映画の面白さは、世間の常識とずれた主人公、馬締光也(まじめ みつや)の人物造形に多くを負っている。 ある出版社で、新しい国語辞典『大渡海』(だいとかい)の出版が…

すし匠

個性的な店だ。鮨の合間にツマミを出すが、これらは単なる刺し身ではなく、一手間加えたものだ。鮨のネタは、マグロもあることはあるが、秋刀魚やあん肝や金目鯛など、鮨としては珍しいネタも揃えている。 ネタによって二種類使い分けているというシャリは、…

Square

Squareを見たのは、これが初めて。チップをどのように付け加えるのか疑問だったが、Squareは15%, 20%, 25%, カスタム、ノーチップといういくつかのオプションを提供している。(ところでアメリカのチップは高いな。僕は15%を選択した)。この次の画面で、指で…

ピッツェリア A Mascara d'o pulecenella

この日は横浜みなと博物館で、知っているようで知らない横浜の歴史を勉強した。ツテがあって、あるガイドの方にほぼ2時間付くことができたのだが、展示も充実しているし、ガイドの方の話も上手だったので、飽きることなく楽しめた。直ぐ横の帆船日本丸も面白…

トスカーナ旅行

トスカーナへ いつの頃からだろうか、トスカーナを訪れたいという気持ちが、自分の中で少しずつ大きくなってきた。旅行雑誌などで見掛ける、広大な葡萄畑の間に糸杉が並んだ印象的な光景を、自分で見てみたいと思ったのだ。 8月初めに1週間の休暇が取れたの…

マレイが遂にウィンブルドンで初優勝

アンディ マレイが遂に2013年ウィンブルドンで初優勝した。しかも見事なパフォーマンスでだ。 英国はテニス発祥の地だが、最後にウィンブルドンで優勝した英国人は77年前のフレッド ペリーだった。英国の金融自由化に伴い、ロンドンでも米系の投資銀行の存在…

ナダル、恐るべし

クレイでのラファエル ナダルの強さは信じられない。8回目の優勝を飾った今年のロラン ギャロス(全仏)では、準決勝でナダルとノヴァク ジョコヴィッチが当たり、これが事実上の決勝戦となった。ダヴィド フェレールとの決勝は付け足しのようなものだ。 ジョ…

ル ブルギニオン

六本木ヒルズ近くのフランス料理店。南仏を思い浮かべさせるような色調の内装だ。 アラカルトで、前菜は鮑のコンポートを頼んだ。鮑を蒸して柔らかくしているのだが、香辛料でも合わせているのだろうか、不思議な味付けがする。付け合わせのアスパラガスは、…

ディパーテッド

Martin Scorsese, The Departed, (2006)周りに犯罪者が多い環境に育ちながらも、自らは堅気の道を歩むビリー コスティガン(レオナルド ディカプリオ)。彼は警官になって直ぐに、マフィアのコステロ(ジャック ニコルソン)の組織にネズミ(覆面捜査官)として潜…

告白

中島哲也 「告白」 (2010) 中学教師の森口悠子(松たか子)の娘、愛美(芦田愛菜)が、学校の水泳ブールで溺死する。担当する学級で、森口は、犯人は生徒の中の二人だと告げ、生徒達は騒然とする。 その後、何人かの関係者の視点で事件が再現される。と言っても…

タランテッラ ダ ルイジ TARANTELLA da luigi

根津美術館に訪れた帰りに、白金のタランテッラ ダ ルイジで約1年ぶりに夕食を摂った。 今日も満席。流行っているせいか、店員が増えたようだ。選ぶのに困るほどメニューが豊富なのは、前回と変わっていない。 つまみとして、蜂蜜をかけたゴルゴンゾーラを頼…

ルキノ ヴィスコンティ 「若者のすべて」

Luchino Visconti, Rocco e i suoi fratelli (1960)家族の愛情は美しい、と思われている。しかし、愛情を注いだ相手に裏切られたら、それでもなお、相手を愛するべきだろうか? 父親の死を機に、田舎からミラノにでてきた母と息子たち。彼らの多くは、定職が…

一票の格差の是正方法

最近の日本では選挙における「一票の格差」が問題となっている。2009年衆議院選では最大格差が2.3倍、2010年参議院選では同5倍だった。 一票の格差が問題となっているのは、日本だけではないようだ。最大の格差は、英国平民院(下院)では5.05倍、米国下院では…

伊豆旅行

伊豆へ1泊の温泉旅行に行ってきた。 JRの「踊り子」という列車だと、品川から伊東まで1時間半程度で着く。伊豆地方は東京から近いので何回か訪れたことはあるが、伊東は初めてだ。 伊東 伊東を歩いて、寂れた街だと感じた。商店街は一部を除いて活気がなく、…

ハンナとその姉妹

Woody Allen, Hannah and Her Sisters (1986) ニューヨークに住むハンナ達三姉妹。彼女たちは夫や恋人たちとの関係に問題を抱えている。夫の浮気や妻の浮気や夫婦の倦怠期が入り乱れ、人間関係は複雑だ。 個人的な好みからすると、セリフが多すぎる。こうい…

日本春歌考

大島渚 「日本春歌考」(1967) 大学受験のために地方から上京してきた、男子4人と女子3人。男子たちは、建国記念日の制定(紀元節の復活)に反対するデモ隊を見かけたり、大学でベトナム戦争に反対する左派の学生たちを見かけるが、そういう政治的な動きには興…

スカイフォール

Sam Mendes, Skyfall (2012) ジェイムズ ボンド シリーズは20作以上あるが、僕は2~3作しか見たことがない。飛行機で本を読むのに疲れて、あまり期待せずに何気なく本作を見始めたが、これが中々面白かった。 本作では、諜報機関MI6の危機が描かれる。機密情…

プロメテウス

Ridley Scott, Prometheus (2012) スコットランドのスカイ島で壁画が発見される。科学者たちは、その壁画は異星人が描いたものだと判断した。科学者たちは、宇宙船プロメテウスで異星に向かう。目的地に到達した彼らは、伝染病、不気味な姿をした異星人の攻…

ルカンケ

白金台のルカンケは、正にビストロと言うべき店だった。 ブーダン ノワールは、薄い衣をつけて揚げるという一風変わった調理法だ。しかも真ん中に半熟の卵を挟んでいる。 蝦夷鹿のロースト、赤ワインソースは、かなり野趣を感じさせる味。 連れが頼んだ、和…

2013年全豪オープン

2013年全豪オープンで、ノヴァク ジョコヴィッチがアンディ マレイを破って優勝した。僕は決勝の前はマレイの方が優位と思っていたし、第1セットのタイ ブレイクをマレイが取った時にはマレイが勝つと思った。 しかし、そこからのジョコヴィッチのプレイは見…

七人の侍

黒澤明、「七人の侍」(1954) 現代において、侍の戦を描いた昔の映画は価値を持ちうるだろうか。現代は武器そのものが高度になり、撮影技術やCGも発達している。現代映画の方が、昔の映画に比べて、戦闘場面の迫力は当然上回っている。しかし、黒澤明の七人の…