マレイが遂にウィンブルドンで初優勝

アンディ マレイが遂に2013年ウィンブルドンで初優勝した。しかも見事なパフォーマンスでだ。

英国はテニス発祥の地だが、最後にウィンブルドンで優勝した英国人は77年前のフレッド ペリーだった。英国の金融自由化に伴い、ロンドンでも米系の投資銀行の存在感が強くなった頃は、外国人が自国で圧倒的に強い状況を「ウィンブルドン現象」と揶揄する声もあったほどだ。

去年の決勝でロジャー フェデラーに敗れたマレイは、決勝のスピーチで泣いてしまい、ウィンブルドンへの思いがいかに強いか世界中のファンに知らしめた。今年の大会も英国人ファンが熱狂的に盛り上る中、マレイは苦しみながら決勝まで進出してきた。準々決勝ではフェルナンド ヴェルダスコに2セット ダウンからの逆転勝ち、準決勝でもジャージー ヤノヴィッチのパワーに1セット目を落としながらの逆転勝ち。マレイは着実に勝負強くなってきている。

そして迎えたノヴァク ジョコヴィッチとの決勝は、スコアは3-0で一方的に見えるかもしれないが、内容は緊迫感のある極めて高い水準のものだった。ラインを大きく割るような平凡なエラーは少なく、深く正確なストロークが20本以上続くようなラリーが何回もあった。ジョコビッチのプレイも良かったが、マレイは更に上回る。去年のオリンピック決勝(d. フェデラー)に優るとも劣らない、完璧に近いプレイだった。

マレイは25歳にしてようやくグランド スラム(全米)で初優勝した遅咲きだが、今後もグランド スラムで何回か優勝するだろうし、1位にもなれるだろう。過去10年間は、フェデラーナダルとジョコヴィッチが圧倒的な存在だったが、これで名実ともに「Big 4」の時代が到来したと言えよう(フェデラーがBig 4から転落しなければだが)。

準決勝も興味深い試合だった。ジョコビッチ(26歳, 188cm)がデルポトロ(24歳, 198 cm)を破り、マレイ(26歳, 190 cm)がヤノビッチ(22歳, 203 cm)を破った。最近の若手選手は、デルポトロとヤノヴィッチに限らず、シリック(24歳, 198 cm)やラオニック(22歳, 196 cm)など大型でパワーのある選手の台頭が著しい。今回の準決勝では、全盛期にある選手達が、より若くパワーのある選手達をひとまず抑えたという構図となったが、大型選手への世代交代が進むかどうかは、今後2~3年のテニス界の主要なテーマとなるだろう。