2014年の男子テニスは、ノヴァク ジョコヴィッチが年末1位に返り咲いた。ジョコヴィッチはウィンブルドンに加えて、ATP 1000(旧マスターズ)の4大会で優勝し、ツアー ファイナルもロジャー フェデラーの棄権により優勝した。安定度は群を抜いている。
ジョコヴィッチは2011年と2012年に年末1位になった後、2013年にはラファエル ナダルにその座を奪われた。ATPランキング制度は1973年に始まったが、この42年の歴史で、一度失った年末1位の座を奪い返したのは、イヴァン レンドルとフェデラーとナダルとジョコヴィッチの4人しかいない。この内の3人が現役で居る現在は、凄い時代だ。
ジョコヴィッチが相変わらず強かったものの、ランキングの上位には変動が起きている。
ナダルは体のトラブルに見舞われた。バブリンカとの全豪決勝では怪我で調子が落ちてしまった。夏の北米ツアーは、(利き手とは逆の)右手首の怪我で欠場。更に秋には虫垂炎の手術でパリとツアー ファイナルを欠場してしまった。虫垂炎がこの時期に起きたのは偶然だろうが、怪我には今後も悩まされそうだ。
今年のグランド スラムでは、全豪でスタン バブリンカ、全米でマリン チリッチという初顔が優勝した。ATP 1000でも、モンテカルロでバブリンカ、カナダでジョー ウィルフリード ツォンガという初顔が優勝した。バブリンカ、チリッチ、ツォンガとも年齢的には中堅で、ここに来てようやく大きな成果を挙げたという感じだ。
若手も着実に成長している。ウィンブルドンではミロス ラオニッチとグリゴー ディミトロフが準決勝に進み、全米では錦織圭が準決勝でジョコヴィッチを破るという快挙を成し遂げた。錦織はツアー ファイナルのラウンド ロビンでもアンディ マレイを破り、準決勝に進出している。
嬉しい驚きは、33歳のフェデラーの復活だ。去年は順位が大きく下がってしまったが、今年はじめにラケットとコーチを変えた効果が年の半ばから出てきた。ハレ以降は9大会で優勝4回、準優勝3回という見事な結果だった。
順位 |
選手 |
年齢 |
1 |
ジョコヴィッチ |
27 |
2 |
33 |
|
3 |
28 |
|
4 |
バブリンカ |
29 |
5 |
錦織 |
24 |
6 |
マレイ |
27 |
7 |
29 |
|
8 |
ラオニッチ |
23 |
9 |
チリッチ |
26 |
10 |
32 |
|
11 |
ディミトルフ |
23 |
12 |
ツォンガ |
29 |
来年の男子テニスを予想するのは難しい。ジョコヴィッチとナダルの絶対的な優位の時代は終わろうとしている。しかし、錦織やラオニッチやディミトルフが彼らに代わる存在になるのは、未だ早いと思う。バブリンカとチリッチが再びグランド スラムで勝てるかどうかは疑問だ。希望的観測を述べれば、フェデラーの1位復帰の可能性も十分あるだろう。