2019年全豪オープンはジョコヴィッチが圧倒的な強さで優勝

全豪オープンのジョコヴィッチとナダルの対戦というと、2012年の決勝を思い出してしまう。あの時は6時間弱に及ぶ接戦で、最後までどちらが勝つか判らないような戦いだった。

しかし、今年の男子決勝ではノヴァク ジョコヴィッチがラファエル ナダルを圧倒した。スコアで言えばストレイト勝ちで、ジョコヴィッチは自分のサーヴィスを1度も破られずに、逆にナダルのサーヴィスを5後もブレイクした。トータル ポイントもジョコヴィッチが89、ナダルが53と大差が付いた。本大会のナダルは好調だったので、僕も接戦を予想したが、こんなに大差が付くとは思わなかった。

決勝のナダルストロークの威力が弱く、エラーも多かった。ナダルは本調子でなかったと思うが、例えナダルが好調でもジョコヴィッチが勝っただろう。ジョコヴィッチはサーヴのコントロールが良く、ストロークもベイスラインぎりぎりに決まる球が極めて多い。ジョコヴィッチの深いストロークに耐えられずにナダルが先にエラーしてしまうような場面が多かった。

今のジョコヴィッチは、2011年や2015年の最盛期に並ぶ好調さだ。またジョコヴィッチは、去年の末から数大会連続して優勝を逃しているが、グランド スラムの決勝に合わせて調子を上げてくるのはさすがだ。

これでジョコヴィッチのグランド スラム優勝回数は15回となり、ピート サンプラスを抜いて単独歴代3位となった。

Rank

Player

Total

1

 Roger Federer

20

2

 Rafael Nadal

17

3

 Novak Djokovic

15

4

 Pete Sampras

14

5

 Roy Emerson

12

6

 Rod Laver

11

 Björn Borg

11

8

 Bill Tilden

10

 最近グランド スラムの度に同じことを書いているが、グランド スラム優勝回数の上位3人が現役で居る現代は、テニスの黄金期と言えよう。ジョコヴィッチはロジャー フェデラーより6歳年下なので、フェデラーの記録を上回るかもしれない。

そのフェデラーは、ファンにとっては残念な負け方をしてしまった。3回戦までは完璧だったが、ステファノ チチパスとの4回戦の第2セットから突然乱れ始めてしまった。フォアハンドのエラーを連発して何回もブレイク ポイントを逃しているうちにチチパスがゾーンに入ってしまった。去年のウィンブルドン準々決勝(l. ケヴィン アンダソン)を思わせるような嫌な負け方だ。最近は大会を通して好調が続くことが少ない。数試合好調でも、いきなり乱れることがある。ファンとしてこんなことを言いたくないが、加齢の影響なのだろうか?

これも毎度のことだが、本大会でも世代交代は起こらなかった。#NextGenと呼ばれる選手の中では、チチパスはフェデラーに勝ったもののナダルに完敗し、去年のツアー ファイナルで優勝したアレグザンダー ズヴレヴはミロス ラオニッチに負けて4回戦で姿を消してしまった。ジョコヴィッチやナダルと若手との間には依然として大きな差がある。

本大会では、アンディ マレイが引退する意向が伝えられた。腰の調子が悪く痛みが継続し、プレイを楽しめないという。しかし、本人のインタヴィーを読むと、手術が成功したら復帰する可能性が有るようにも思えるのだが、メディアは今季限りの引退を断定的に報じている。本人の意向とメディアの報道にずれが無いのかどうか気になる。

僕は女子テニスに疎いので詳しく書かないが、若干21歳の大坂なおみが去年の全米オープンに続いてグランド スラムで2連勝し、遂にランキング1位に上り詰めたのは快挙だ。男子と違って女子は世代交代が起こっている。