2019年ウィンブルドンはジョコヴィッチが5回目の優勝

2019年ウィンブルドン決勝は、ノヴァク ジョコヴィッチがロジャー フェデラーを4時間57分の激戦の末に7-6(5), 1-6, 7-6(4), 4-6, 13-12(3)で破って、5回目の優勝を成し遂げた。

第1セットはお互いにサーヴィス キープが続き、タイ ブレイクを接戦の末にジョコヴィッチが取る。第2セットはジョコヴィッチの集中が落ちて、フェデラーが簡単に取る。第3セットもお互いにサーヴィス キープが続き、このタイ ブレイクもジョコヴィッチが取る。大4セットは、フェデラーがジョコヴィッチのサーヴを2回、ジョコヴィッチがフェデラーのサーヴを1回ブレイクし、フェデラーが取る。

迎えた第5セットはウィンブルドンの歴史に残る名勝負だった。先ずはジョコヴィッチがフェデラーのサーヴをブレイクするが、その直後にフェデラーがブレイク バックし、6-6を迎える。今年からウィンブルドンは第5セットにもタイブレイクを取り入れ、第5セット12-12でタイブ レイクとなる。フェデラーはその後もう一度ジョコヴィッチのサーヴをブレイクし、8-7の自分のサーヴィス ゲイムで、40-15と2回のチャンピオンシップ ポイントを迎えるが、このゲイムをブレイクされてしまう。遂に迎えたファイナル セット タイ ブレイクは、ジョコヴィッチの集中が優り、激闘に終止符が打たれる。

年初の全豪オープンで優勝した後、ジョコヴィッチは少し調子が下がっていたが、それでもウィンブルドン決勝に向けて最高の調子を出してくる調整力はさすがだ。また、5セットの内3回有ったタイ ブレイクを全て取っているということはBig pointsで強いということだ。

この優勝でジョコヴィッチのグランドスラム優勝回数は16回となった。グランドスラムでは、去年2回、そして今年既に2回優勝しており、フェデラーより6歳若いことを考えると、フェデラーの20回を抜く可能性が有るだろう。

Rank

Player

Total

Australian Open

French Open

Wimbledon

US Open

1

Roger Federer

20

6

1

8

5

2

Rafael Nadal

18

1

12

2

3

3

Novak Djokovic

16

7

1

5

3

4

Pete Sampras

14

2

0

7

5

5

Roy Emerson

12

6

2

2

2

6

Rod Laver

11

3

2

4

2

Björn Borg

11

0

6

5

0

8

Bill Tilden

10

0

0

3

7

9

Fred Perry

8

1

1

3

3

Ken Rosewall

8

4

2

0

2

Jimmy Connors

8

1

0

2

5

Ivan Lendl

8

2

3

0

3

Andre Agassi

8

4

1

1

2

14

Richard Sears

7

0

0

0

7

William Renshaw

7

0

0

7

0

William Larned

7

0

0

0

7

René Lacoste

7

0

3

2

2

Henri Cochet

7

0

4

2

1

John Newcombe

7

2

0

3

2

John McEnroe

7

0

0

3

4

Mats Wilander

7

3

3

0

1

グランドスラムでは2016年の全米オープンから12大会連続して30代の選手が優勝しており、また、2017年全豪オープンから11大会連続してBig 3の誰かが優勝している(ジョコヴィッチ4回、ナダル4回、フェデラー3回)。Big 3は傑出しており、依然として世代交代が起こりそうにない。

GS大会名

優勝選手

優勝時の年齢

2019

Wimbledon

Novak Djokovic

32

2019

RG

Rafael Nadal

33

2018

AO

Novak Djokovic

31

2018

USO

Novak Djokovic

31

2018

Wimbledon

Novak Djokovic

31

2018

RG

Rafael Nadal

32

2018

AO

Roger Federer

36

2017

USO

Rafael Nadal

32

2017

Wimbledon

Roger Federer

35

2017

RG

Rafael Nadal

31

2017

AO

Roger Federer

35

2016

USO

Stan Wawrinka

31

 この試合はフェデラー ファンにとっては残念なものだった。かつてフェデラーナダルを苦手としていたみたいに、最近のフェデラーはジョコヴィッチを苦手としている。ウィンブルドンを得意とするフェデラーが、ウィンブルドン決勝で3回(2014年、2015年そして2019年)も同じ相手に負けてしまったというのに、ショックを受ける。また、今回はフェデラーのサーヴで2回のチャンピオンシップ ポイントが有ったのに負けてしまった、というのも残念だ。

フェデラーは良く戦ったと思うが、スライスを多用する戦術には疑問が残る。スライスはたまに使えば相手のペイスを乱すことができるが、乱用すると効果が薄れてしまう。ジョコヴィッチ相手にスライスを多用する戦略は、去年のパリで試みて効かなかった。フェデラーには、トップスピンの打ち合いではジョコヴィッチに打ち負けてしまうという思いが有るのかもしれないが、ナダルとの準決勝で効果的だったように、バックハンド リターンをフラットで返し、バックハンド ストロークはトップスピンで深く返す戦術をもっと使うべきだったと思う。