2018年ウィンブルドンでノヴァク ジョコヴィッチが復活

2018年ウィンブルドン決勝で、ノヴァク ジョコヴィッチがケヴィン アンダスンを下して、4回目の優勝を成し遂げた。過去2年間に渡って低迷していたジョコヴィッチが復活したと言えよう。

ジョコヴィッチは、2016年ローラン ギャロスで優勝して生涯グランド スラムを達成してから、急激にモティベーションが低下してしまった。悪いことは重なるもので、ジョコヴィッチはコーチのボリス ベッカーとも別れてしまい、更に肘の故障にも悩まされるようになり、今年手術に踏み切っている。

復活の過程で、ローマやクイーンズで調子を上げてきたものの、ここまで早くグランド スラムで優勝できるとは予想していなかった。僕は本大会におけるジョコヴィッチの試合は、ナダルとの準決勝の第4セットから見始めたが、精密機械と言われたストロークの正確性がかなり戻ってきている。2014年から2015年の頃と比べると、セカンド サーヴの威力が未だあまり高くなく、ストロークもチャンス ボールで強打せずにかなりコントロール重視のテニスをしているが、それでもナダルに勝てるのは大したものだ。ジョコヴィッチは全米オープンでも優勝候補となるだろうし、今年の後半にかなりランクを上げてくるだろう。

これでジョコヴィッチのグランド スラム優勝数は13となり、歴代単独4位となった。

 
Rank
Player
Total
1
20
2
17
3
14
4
13
5
12
6
11
11
8
10
グランド スラム優勝数の上位4位までのうち、フェデラーナダル、ジョコヴィッチの3人が現役で居る現在は、テニスの黄金時代と言えよう。
このところ、#NextGenと言われる若手選手が、マスターズ(ATP 1000)ではそこそこ活躍できても、グランド スラムで優勝できない状態が続いている。なんと、2016年全米オープンから2018年ウィンブルドンまで、8大会連続して優勝者が30代となっている。
GS大会名
優勝選手
優勝時の年齢
2018
Wimbledon
Novak Djokovic
31
2018
RG
Rafael Nadal
32
2018
AO
Roger Federer
36
2017
USO
Rafael Nadal
32
2017
Wimbledon
Roger Federer
35
2017
RG
Rafael Nadal
31
2017
AO
Roger Federer
35
2016
USO
Stan Wawrinka
31
フェデラー ファンの僕としては、フェデラーが準々決勝でアンダスンにファイナル セット13-11の末敗れてしまったのが残念だった。本大会のフェデラーは4回戦までは完璧で、アンダスンとの試合も第1セットは完璧だったが、第3セット以降急激にフェデラーのフォアハンドにエラーが増え始め、余裕の生まれたアンダスンのプレイがゾーンに入りだしたら、フェデラーはアンダスンを止められなくなった、という流れだった。第3セットのフェデラーに気の緩みが生じたかどうか判らないが、テニスの流れが簡単に変わりうるという恐ろしい例だ。フェデラーには全米オープンでの優勝を期待したい。
本大会では、タイブレイクの在りかたが問題となった。ウィンブルドンでは、第4セットまではタイブレイクが有るが、第5セットは無く、どちらが2ゲイム差を付けるまで試合が続くことになる。
その結果として、アンダスンはフェデラーと6セット分の準々決勝を戦い、ジョン イズナーとの準決勝ではファイナル セット26-24で試合時間6時間36分という、ほぼ2試合分の試合を戦うことになった。
決勝でのアンダスンは、体のキレが今一つで、ストロークの正確性も低かった。準決勝でエネルギーを使い果たしてしまったのだろう。
6時間半を超える試合は、ファンとしてもうんざりするし、選手への負担も大きく、次の試合に良い調子で臨むのが難しくなる。また、準決勝では、第1試合でアンダスンとイズナーの試合が行なわれたため、第2試合のジョコヴィッチとナダルの試合が当日中に終わらず、翌日に持ち越されてしまった。第5セットに延々とゲイムを続けるのは、意義に乏しい。ウィンブルドンも、伝統に固執するのを止めて、第5セットにタイブレイクを導入すべきだ。