短い夏休みを取り、富山と五箇山、白川、能登半島そして金沢を巡った。
富山駅に新幹線で昼時に到着し、駅で荷物を預け、タクシーで鮨屋へ向かう。寿司栄 華やぎ(はなやぎ)は、富山駅からタクシーで10分程の住宅街に在る鮨屋。大将の声がとても元気で大きいのに、少し驚く。ネタの質は標準的。
地方の鮨屋らしく、シャリは多め。
★★★・・
富山市は小さな街で、路面電車が主要な交通手段となっている。20分程の環状の路線が有ったので、市内を見るには丁度良いと思い、乗ってみた。
刺激は少ないかもしれないが、落ち着いた街並みだ。★★★・・
鮨屋の主人に教えてもらったスターバックスの富山環水公園店へ足を運んだ。自称か他称か判らないが、ネット上では「世界で一番美しいスターバックス」という評価が見られる。世界一かどうかは別として、運河に臨む姿は確かに美しい。味はもちろん他の店と変わらない。
富岩運河環水公園(ふがんうんが かんすいこうえん)は、かつての運河を活かした公園だ。運河沿いの散策は気持ちよい。★★★★★
ニッポンレンタカーでクルマを借りる。普段はスバルを借りることが多いが、今回は富山で借りて金沢で返却する都合上、選べる車種が少なく、プリウスを選択した。
新湊きっときと市場は富山市からクルマで40分程の港町の施設。漁業関係者というより観光客向けだ。★★・・・
1泊目のリバーリトリート雅樂倶は、富山市からクルマで40分程。温泉宿を現代的に再解釈したホテルだ。この辺りには特筆すべき観光名所が無く、ここでの料理と風呂を目当てに客はこのホテルに泊まることになる。神通川に臨む建物は、シックな雰囲気。吹き抜けが高く、コンクリート打ちっぱなしのロビーは、現代的で禁欲的なデザインだ。★★★★★
客室にも浴室は有るが、露天の大浴場も有り、館内は浴衣でも過ごせる。ここの露天風呂は、湯温があまり高くなく、僕でも楽しめた。
このホテルの夕食はフランス料理と和食から選べる。僕がこのホテルを選んだ大きな理由が、そのフランス料理店L'évo(レヴォ)だった。
アミューズの段階で、本日の料理への期待が高まる。僕はアミューズを気に入ることは殆どないが、ここのアミューズは明確な個性を持っている。
「新湊 神経締め真鰯」
「大越中バイ」
「Virgin Egg」は半熟卵にチーズでとろみを加えるという面白い趣向
「鶏」は火入れが見事
「ノドグロ」のソースには恐らく海藻を使っているだろう。フランス料理としても和食としても通じる一皿。
「むぎやポーク」
「アロエ」
「バタバタ茶」は、地元の菓子を洗練されたデセールに仕立て上げている。
ホテルの他の部分と同様、このレストランでも浴衣を着用できる(僕はしなかったが)。ざっと眺めると、客の約半分は浴衣を着用しており、若干違和感を覚える。こういうコンセプトだと思って、慣れるしかない。
ここの料理は地元の食材を多用し、品質が極めて高い。また、和食のエッセンスをフランス料理に取り入れているが、奇を衒った感じにならず、フランス料理としての完成度も上々だ。ただ、ワインの種類は少ないので、ワイン好きには物足りないかもしれない。★★★★★
富山のリゾートホテル「リバーリトリート雅樂倶」| 川のほとり、アートの宿。富山空港より車で20分
翌朝、リバーリトリート雅樂倶をチェックアウトし、クルマで五箇山(ごかやま)と白川郷を廻った。両方とも伝統的な合掌造りが残っている集落だ。日本の原風景という感じだが、観光客として気楽に眺める分には良いが、こういうところに住んで冬を過ごすのはかなり大変そうだ。五箇山と白川郷では若干雰囲気が異なる。
五箇山は、一部の家が土産物屋やカフェを営んでいるが、大部分の家庭が観光業と関係ない生活を営んでいる。従って、観光客が内部を覗ける家屋は少ない。★★★★・
白川郷は全般的に観光化が進んでいるが、地域の一部を保存地区にしている。保存地区に入るには入場料が必要だが、その代わり家屋の内部も見ることができる。養蚕農家の家内に入ってみた。勾配のきつい階段を上った上層階でかつて蚕を飼っていたのだが、床の木の強度が低そうで、思いきり踏みつけたら床が抜けそうで怖い。★★★★・
2泊目のあらや滔々庵(あらやとうとうあん)は800年もの歴史を誇る旅館だ。とは言え、こまめに改装を繰り返しており、数年前も休業し大改装したそうで、室内は清潔だ。★★★★★
客室とは別の個室で夕食をいただいたが、これが素晴らしかった。
「椀 油目 葛打ち 冬瓜 おかひじき 順才(じゅんさい) 口子 梅肉」
「造り 橋立港におまかせ 毛蟹あらい ほか」
「八寸(写真は二人分) 加賀山海佳肴盛り 無花果 スナップエンドウ 胡麻クリーム くるみ ずいき 玉〆キャビア とうもろこし湯葉 のど黒塩焼き 鯵棒鮨」
「酢のもの 茹で毛蟹 土佐酢」
この時期でも取れるという毛蟹は、蟹が余り好きでない僕も大変美味しいと思った。
「鮑 胆ソース和え 豆腐 ヤングコーン」
「牡蠣」
「御食事 とうもろこし生姜炊込み もずく朝葱 赤味噌仕立て 水茄子 南瓜 昆布」
水菓子 西瓜 ぶどう レモンゼラ 抹茶アイス わらび餅
単に高級食材を使うだけでなく、それぞれの質が極めて高い。調理法はオーソドックスなもので、食材の良さを引き出すことに徹している。正攻法だが印象に残る見事な料理だ。★★★★★
3日目の朝、あらや滔々庵をチェックアウトし、能登半島をドライブ。
千里浜は、クルマで乗り入れることのできる珍しい砂浜。★★★・・
別所岳スカイデッキ能登ゆめてらすは、半島の中央にあり、眺めが良い。★★★・・
3泊目の海游 能登の庄は輪島近くの温泉宿だ。客室は豪華さは無いが、広さや清潔さは十分。リネンは余り多くない。★★★★・
能登の旅館・輪島で宿泊なら|料理は高級食材を使用|輪島で宿泊は旅館は【能登の庄】へ
この宿は料金が余り高くない割に、料理の水準がかなり高い。お造りの質の良さに驚いた。また、ふぐを色々な調理法で供してくれるのも嬉しい。★★★★★
「先附 能登ふぐ皮コラーゲン寄せ 前菜 手網寿司 枝豆 アボカド豆腐 めかぶ つぶ貝のとワインカクテル 子ふぐ粒マスタード 太刀魚八幡巻き ゆべしカマンベールチーズ」
「お造り 海鮮六種盛り」
「椀物 輪島鯛とよもぎ麩 新緑仕立て」
見た目も味も爽やか
「夏の彩 能登 ふぐ変わり揚げ 白子天ぷら 能登野菜スティック 特製ディップ」
「凌ぎ 冷なまこうどん」
「焼物 国産ロース牛黒胡椒焼き さわら柚あん焼き 海老バター ソテー」
「酢の物 能登ふぐ 梅貝 海素麺 鯵のエスカベッシュ 梅酢」
「御飯 いしる風味焼きおにぎり茶漬け ふぐ真子粕漬け」
「大納言ゼリー メロンクリーム」
輪島の伝統的な太鼓のショーが有り、宿が無料で送迎してくれたので夜見に行った。この地区で生まれた男性のみが面を被って太鼓を叩く。近く神事の本番が有り、それに備えた練習を観光客にも公開しているらしい。複数の男達が入れ替わり立ち替わり現れるが、太鼓は一つのみだ。一人がリズムをキープし続け、別の者がアクセントを入れていく。神事用の太鼓なので、単なる観光客向けではなく、演奏の技術が極めて高い。30分程と短いが、十分満足した。★★★★★
泊まった日の夜は、ウィンブルドンの準々決勝でロジャー フェデラーの試合が遅くなったので、大浴場には入らなかった。
4日目の朝、能登の庄をチェックアウトし、輪島朝市を訪れた。海産物と漆器の店が多く、地元民と観光客の両方が集まっている感じだ。★★★★・
漆器のアウトレット店を訪れたら、店主が30分程丁寧に説明してくれた。漆を塗る前の木は、極めて薄く、明かりに向けると木から明かりが透けて見えるほど。ここに漆を何層か塗ると重みが出る。色が若干不揃いなためアウトレットに回った椀を購入した。
白米千枚田(しろよねせんまいだ)は海に面した棚田だ。急勾配の斜面に層状に広がる田んぼは、実用上は農作業が大変だろうが、景観的には緑のグラディエーションがとても美しい。
白米千枚田を後にし、金沢市へ向かう。先ずは、県庁舎の展望台に上り、市の全体像を眺める。
レンタカーを返却してから、ホテルにチェックインした。
金沢市で2泊するのが、彩の庭ホテル (さいのにわ)。
金沢駅から徒歩20分弱と立地は不便だが、部屋の広さの割に宿泊料は安めだ。スタッフも直ぐ顔を覚えてくれ、気さくな対応が良い。★★★★・
金沢彩の庭ホテル【公式サイト】|2015年3月9日オープン。金沢駅から車で5分。
金沢1泊目の夕食は鮨 志の助(しのすけ)で。大将は有名な小松弥助の弟子だそうだ。東京の一流店に勝るとも劣らないほどの美味しい鮨を、東京よりかなり安い料金で供する。シャリがやや独特で、芯が少し残ったような炊き方だ。最初の一口は違和感を覚えたが、直ぐに慣れ、美味しくいただけた。
★★★★★
金沢の2日目は、代表的な観光地を巡った。ここで悩んだのが交通手段だ。レンタサイクルも考えたが、ホテルのコンシェルジェから、乗り捨て場を見つけるのが難しいと言われ、また猛暑日でもあったので、結局バスの1日券を買うことにした。バスの路線はかなり発達している。
先ずは日本三大名園の一つである兼六園を訪れる。せり出す松と池との対比が美しい。時雨亭(しぐれてい)で抹茶を頂く。★★★★★
金沢21世紀美術館にも寄ったが、現代美術を解さない僕にとっては、もったいなかったか。
金沢城は想像以上に壮麗で驚いた。釘を使わずにホゾのみで組み立てているのが見事。★★★★・
ひがし茶屋街には昔ながらの街並みが残っている。ここに限らず金沢市では、住宅街はともかく、観光地は電線の地中化が進んでいるのが良い。ひがし茶屋街には、いわゆる茶屋以外に、金沢名物の金箔を使った物品の店がいくつか有り、外国人観光客で賑わっていた。★★★★・
主計町(かずえまち)茶屋街は、ひがし茶屋街に比べるとかなり小さい。ここはショップは全くなく、小料理屋や居酒屋が多い。★★★・・
金沢市2日目の夕食は料亭のつる幸 (つるこう)で。
ミシュランで星が付いている高級店ということで期待していたが、食後感は微妙だ。確かに美味しいのだが、客単価25,000円を考えると平凡な感じがする。品書きをくれないのも不親切だ。品数が多いので、口頭の説明だけでは各品を覚えきれない。
★★★・・
金沢3日目かつ旅行の最終日は、帰京の新幹線が夕方発なので、それまで観光で過ごした。
にし茶屋街も規模はひがし茶屋街に比べて小さい。西茶屋資料館でかつての茶屋の内部を垣間見た。
★★★・・
この近くの妙立寺(みょうりゅうじ)が面白かった。別名「忍者寺」だが、忍者が住んでいたわけではない。徳川幕府の初期時代に、加賀前田家は幕府と緊張関係にあり、幕府が攻撃してきた際にこの妙立寺で迎え撃つことを想定していたそうだ。このため、妙立寺には至るところに隠し部屋や隠し通路が設置されている。ガイドに案内してもらい、これらの仕掛けを見ていくのが面白い。幸い、加賀前田家は徳川幕府に攻撃されることなく、この妙立寺も無傷のまま現代まで残っている。
★★★★・
長町武家屋敷跡には、かつての武家屋敷の面影が残っている。用水の澄んだ水に心が和む。野村家の庭は、小さいながらも見事なものだ。
★★★★・
金沢市最後の観光で近江町市場(おうみちょういちば)に訪れた。海産物が中心で、活気がある。のどぐろが当たり前のように売られているのが、東京の人間にとっては新鮮だ。★★★・・
魚屋に教えてもらった市場内の源平という鮨屋で昼食を摂る。★★★・・
金沢駅はかなり大きく、木造の門は壮観だ。
★★★★・
金沢の町は、京都と異なる魅力がある。大都市の京都に比べて、金沢は小さくまとまっており、見て回りやすい。中心部であれば徒歩での移動も可能だ。また、京都と異なり、芸能人が経営する低俗な土産物屋が無いのも良い。