男子テニス2013年

今年の話題は、ラファエル ナダルの復活に尽きる。現在のATPランキング制度が始まったのは1973年だが、一度失った年末1位の座を取り戻した選手は、この40年間でフェデラーナダルしかいない。しかもナダルの復活は2回めだ。

去年のウィンブルドンの後、怪我でツアーから遠ざかっていたナダルは、復帰を何度か延期してきた。約7ヶ月も試合をできない状態が続いている間は、焦りも有ったことだろうが、それに耐えた精神力は見事なものだ。

復帰後の成績も、ウィンブルドンの1回戦負けを除けば、完璧に近い。全仏の準決勝と全米の決勝でジョコヴィッチを破った試合も印象的だった。両方とも序盤はナダルが優勢だったが、ジョコヴィッチが追いつき、そのままジョコヴィッチが勝ちそうな流れだったが、ナダルは再度流れを変えた。劣勢に立たされた時の粘り強さは、テニス史上最高ではないだろうか。

2011年にはナダルに勝ちまくっていたジョコヴィッチは、今年はナダルに対する勝率が落ちてしまった。試合内容が特に悪いということはないが、全仏と全米ではナダルの驚異的な粘りに根負けしてしまった感じだ。しかし、ツアー ファイナルでナダルを破って優勝したのはさすがだし、ジョコヴィッチは来年も1位の座を争うだろう。

マレイは中々1位に手が届かない。今年は遂にウィンブルドンで初優勝したものの、年の終盤は背中の手術のために、ツアーから離脱してしまった。来年は、ナダルのように完調で復活することを期待したい。

今年はフェデラーにとっては最悪の年だった。本人の弁によれば、背中の怪我にも関わらず3月のIndian Wellsに出場して、ますます状態が悪くなり、そこからネガティヴ スパイラルに陥ってしまった。32歳という年齢を考慮して、今年は出場大会を絞る方針だったが、ウィンブルドン2回戦負けの後、急遽クレイの2大会への出場を決め、そこでまた背中を痛めてしまう。そのクレイの2大会では、ラケットをフェイス面積が大きなものに変えたものの、後には再び小さなラケットに戻すなど、焦り故か、ちぐはぐな行動が目立った。しかし、引退論が噴出する中、年末のインドア シーズンでは徐々に調子を上げてきている。最悪の時期はまもなく脱するのではないだろうか。