リンカーン

Steven SpielbergLincoln (2012)

市民戦争(南北戦争)と奴隷解放は、米国の歴史の中で特に重要な出来事だろう。そして、奴隷解放を成し遂げたエイブラハム リンカンは、偉大な大統領と言われている。

そのリンカンの奴隷解放を描いた本作は、誠実な映画と言えよう。しかし、こんな言い方で一言で切り捨ててしまうのは気が引けるが、本作は映画として面白く無い。

本作が主に描くのは、奴隷解放に必要な憲法の修正案を議会で可決させるために、リンカンが議会工作を行なう過程だ。奴隷解放自体に反対する議員も多いし、更に、戦争を集結させることができれば、奴隷問題は現状維持で良いと考える人も多い。そのような議員たちを、リンカンは説得したり、あるいは贈賄まがいの行為を行なって賛成に転向させようとする。その過程を本作は丁寧に描くのだが、主題の性質上どうしてもセリフが多くなる。状況をセリフで説明することに重点が置かれ、映像としては見るべき点が少ない。山場の議会での採決場面も、個々の議員たちが賛成か反対かを述べる様子を延々と映すだけだ。

本作は文章で書かれるべきだったのではないだろうか。映像は凡庸だ。

★★・・・