Christopher Nolan, Dunkirk (2017)
戦争が三つの視点と時間軸で描かれる。一つは、兵士達が救助の船を待つ波止場。一つは、兵士たちの救助に向かうイギリスの船舶群。もう一つは、ダンケルク周辺でドイツ空軍と交戦するイギリス空軍。
それぞれが、今どきの映画にしては珍しく、CGを排し実写で描かれている。わざわざ古いプロペラ戦闘機を飛ばしたり、軍艦を実際に稼働させているのには驚く。僕は、迫真感があれば、CGだろうが実写だろうが、どちらでも構わないと思うが、監督は圧倒的な物量作戦による実写で、緊迫感のある作品を作り上げている。本作はIMAXで見たことも相まって、映像と音響とも迫力がある。場面のテンポが良く、だれることが無い。
本作は、戦争の是非を訴えたり、主人公の内面や人間関係を描いたりしない。この点を捉えて、本作を浅薄な作品だと論じる人も居ようが、監督はそれらを意図的に避けているのだろう。僕自身は過去数年間で好みが変わり、今はイデオロギーの濃い映画は好まない。本作は映像と音響の迫力を堪能した。
★★★★★
