2015年の男子テニスは、ノヴァク ジョコヴィッチが圧倒的な強さを見せた。グランド スラム4大会では、全豪、ウィンブルドン、全米で優勝し、ローラン ギャロス(全仏)でも準優勝だった。ATP 1000(旧マスターズ)6勝とツアー ファイナルを含む11大会で優勝した今年の強さはテニス史上有数だろう。
YEAR |
PLAYER |
# TITLES |
GS WON |
2015 |
Novak Djokovic |
11 |
AO, Wim, USO |
2013 |
Rafael Nadal |
12 |
RG, USO |
2011 |
Novak Djokovic |
10 |
AO, Wim, USO |
2010 |
Rafael Nadal |
7 |
RG, Wim, USO |
2007 |
Roger Federer |
7 |
AO, Wim, USO |
2006 |
Roger Federer |
12 |
AO, Wim, USO |
2005 |
Roger Federer |
11 |
Wim, USO |
2004 |
Roger Federer |
11 |
AO, Wim, USO |
1994 |
Pete Sampras |
10 |
AO, Wim |
1988 |
Mats Winlander |
6 |
AO, RG, USO |
John McEnroe |
13 |
Wim, USO |
|
1981 |
John McEnroe |
10 |
Wim, USO |
1979 |
Bjorn Borg |
13 |
RG, Wim |
1974 |
Jimmy Connors |
15 |
AO, Wim, USO |
(ATPランキング年末1位 and ((GS 2勝以上 and 10勝以上) or (GS 3勝以上)))
ジョコヴィッチは、以前から高かったストロークとリターンの精度が更に向上している。そして最近はサーヴも大きな武器になっている。ジョコヴィッチのサーヴは、凄く速いわけではないが、コントロールが抜群に良く、リターンする相手の姿勢を崩すことができる。しかも勝負所に強い。ウィンブルドンでも全米でもツアー ファイナルでも、大会の中盤までは調子の悪い日も有ったが、決勝では最高の調子でプレイし、ロジャー フェデラーを破った。今年ジョコヴィッチに複数回勝ったのはロジャー フェデラーしかいない(ジョコヴィッチの5勝3敗)。
2位のアンディ マレイは8,670ポイントで、ジョコヴィッチの16,585ポイントの約半分しかないし、今年の対戦成績はジョコヴィッチの6勝1敗で、1位と2位との差が極めて大きかった。
ロジャー フェデラーはおおむね好調だったものの、ジョコヴィッチには及ばなかった。シンシナティの決勝でジョコヴィッチに勝ったものの、その直後の全米の決勝ではジョコヴィッチに負けてしまった。ツアー ファイナルでも、ラウンド ロビンでジョコヴィッチに勝ったものの決勝では負けてしまった。大きな試合での勝負強さでは、ジョコヴィッチに敵わない。
スタン バブリンカは、ローラン ギャロスで圧倒的なプレイで優勝候補筆頭だったジョコヴィッチを下して優勝した。バブリンカは調子の波が大きいのが欠点だが、ゾーンに入ったときは誰にでも勝てる。
ラファエル ナダルは、グランド スラムとATP 1000のタイトルが一つもなかった。ナダルは2005年に初出場したローラン ギャロスで、19歳にしていきなり優勝したが、グランド スラムで1勝もできなかったのは、それ以来初めてだ。今年の前半は格下に対して負けることも多かった。年末にかけて徐々に調子を取り戻してきたが、ツアー ファイナルの準決勝ではジョコヴィッチに完敗してしまった。ナダルは来年もトップ10でいられると思うが、グランド スラムでの優勝は難しいだろう。
ここ数年の傾向は変わらず、今年も世代交代は起きなかった。ランキング10位までの顔ぶれは、年末に26歳になる錦織圭を除くと全員が28歳以上だ。しかも30歳以上が5人も居る。去年躍進した錦織とミロス ラオニッチとグリゴー ディミトロフは、錦織が5位から8位へ、ラオニッチが8位から14位へ、ディミトロフが11位から28位へと、いずれも順位を落としている。
RANKING |
PLAYER |
AGE |
1 |
Novak Djokovic |
28 |
2 |
Andy Murray |
28 |
3 |
Roger Federer |
34 |
4 |
Stan Wawrinka |
30 |
5 |
Rafael Nadal |
29 |
6 |
Tomas Berdych |
30 |
7 |
David Ferrer |
33 |
8 |
26 |
|
9 |
Richard Gasquet |
29 |
10 |
Jo-Wilfried Tsonga |
30 |
: |
: |
: |
13 |
Marin Cilic |
27 |
: |
: |
: |
14 |
Milos Raonic |
24 |
: |
: |
: |
20 |
Dominic Thiem |
22 |
: |
: |
: |
28 |
Grigor Dimitrov |
24 |
: |
|
|
30 |
Nick Kyrgios |
20 |
(年齢は2015年12月末時点)
来年の男子テニス界はどうなるのだろうか?今年のジョコヴィッチの調子がそのまま続くとは考えにくい。かと言って、有力選手の中でジョコヴィッチと対等に勝負できそうな人は居ない。錦織やラオニッチやディミトロフより更に若いドミニク ティームやニック キリオスがジョコヴィッチに挑戦するのはまだ早いだろう。今年はアンディ マレイもラファエル ナダルもジョコヴィッチに全く敵わなかった。今ジョコヴィッチと対等近く争えるのはフェデラーしか居ない。