告白

中島哲也 「告白」 (2010)

中学教師の森口悠子(松たか子)の娘、愛美(芦田愛菜)が、学校の水泳ブールで溺死する。担当する学級で、森口は、犯人は生徒の中の二人だと告げ、生徒達は騒然とする。

その後、何人かの関係者の視点で事件が再現される。と言っても、本作は謎解きの話ではない。殺人事件の概要と、犯人が誰であるかは、既に冒頭で明らかにされている。その上で本作は、関係者達の人間関係や感情の揺れを、複数の視点から深堀りしていく。この展開が実に見事だ。

少年法」の規定により、未成年者には厳しい量刑が課されない。よって森口は、個人的に犯人の生徒たちに復讐することを決意した。復讐の意図と方法を淡々と述べる松の無表情さに慄然とする。

本作は、犯人たちの複雑な家庭環境も描くが、だからといって、彼らが本当は善人だったという描き方はしていない。主犯の少年は人間性を失っており、更生はほぼ不可能だろう。こういう者が赦されるべきか、それとも罰を受けるべきか、本作は重い問いを投げかける。

★★★★★

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以下はネタバレ:

 

 

最後の場面で、森口は衝撃的な方法で主犯に復讐する。しかし、この復讐は実行されなかったのかも知れない。終わりの方は、話の辻褄が合わないところがあるが、実行されなかったと考えると辻褄が合う。そして、一番最後の森口のセリフが、実は最後の場面は架空だと示唆しているのではないか。