ヴィタール

「鉄男」の塚本晋也の最新作「ヴィタール」を観た。

 

交通事故で記憶を失った高木博史(浅野忠信)は,医大に入学する。数ヶ月に及ぶ解剖実習が始まると,自分が若い女性と過ごしている幻覚が頭の中に浮かぶようになる。死体の腕に刻まれた刺青から,その死体が-そして幻覚の中の女性が-かつての恋人涼子(柄本奈美)であることに気づく。高木が解剖にのめりこんでいくに従って,幻覚はだんだん鮮明になっていき,どちらが現実だか区別が付かなくなってくる…

 

主人公の高木と同じく,観客も現実が-そして確かなものが-どこにあるのかわからない奇妙な感覚にとらわれてくる。作品の内容はやや難解で理解できない部分もあった-例えば,記憶の中の高木と涼子は,なぜ首を絞めあって恍惚感を感じるのだろうか?録音の仕方のせいか,重要な部分で俳優の声が聞き取りにくい部分が何箇所かあり,それも理解を妨げた原因かも知れない。柄本奈美のセリフが下手なのも残念。良さそうな映画だが,いまひとつ楽しめなかった。

★★★・・