春夏秋冬そして春

キム ギドク「春夏秋冬そして春

雨の降った今日は、家でキム ギドクの映画「春夏秋冬そして春」を見て過ごした。

 

山奥の寂れた寺。二人きりで暮らす老僧と小僧。無邪気な少年が青年に成長したある夏の日、心の病を治すために若い女性が寺を訪れる。仏に仕える身でありながら煩悩を捨てきれない青年僧は、女性と関係を持ち、次いで女性を追って寺を出奔してしまう。数年後の秋、浮気した妻を殺した元青年僧は、寺に駆け込んだものの、警察に逮捕されてしまう。更に数年後の冬、老僧亡き後の寺に出所した元青年僧が舞い戻り、修行を再開する…

 

ストーリーは淡々と展開するが、静謐な映像美が素晴らしい。特に、雪景色の中で僧修行する様は、官能的ですらある。惜しむらくは、映像に凝り過ぎる部分が散見されるところだ。また、全編を通じて台詞や音楽が最小限に抑えられているにもかかわらず、最後の場面で流れる通俗的な歌謡のため、気持ちが冷めてしまう。表現がもう少し抑制されればもっといい映画になっただろうに。

★★★・・