コーリャ愛のプラハ

Jan Sverák, Kolya ヤン スヴェラーク「コーリャ愛のプラハ」(1996)

 

ソ連占領下のチェコの市民生活という重く難しい主題を、市民の視線からユーモアも交えて描いた作品だ。

 

チェリストのローカは、女好きで独身主義を貫いている。音楽だけでは生活が成り立たないローカは、金目当てに、チェコの市民権を求めるソ連の女性と偽装結婚をする。ところがその女性が、5歳の男の子コーリャを残して、愛人のいる西ドイツに亡命してしまったことから、ローカの苦境が始まる。ローカは図らずともコーリャの世話をせざるを得なくなるが、コーリャはなかなかローかに懐かず、しかもソ連の国旗や兵士を見て喜ぶという有様。ローカとコーリャの間はギクシャクした関係が続くが、いつしかコーリャはローカをお父さんと呼ぶようになり、ローカもコーリャを愛おしく思うようになる…

 

チェコソ連の関係を市民の視線で描いているので、チェコ市民がソ連に対して忌々しい気持ちを抱いていたことが実感できる。一方、政治的な観点を抜きにしても、ひょんなことから親子になってしまった二人の愛憎も十分楽しめる。女好きのローカ役の演技も巧いし、コーリャの表情も良い。日本語の題名の「愛のプラハ」は蛇足。

★★★・・

WOWOWで録画。