レイジング ブル

Martin Scorsese, Raging Bull (1980)

 

ミドル級のボクサー、ジェイク ラモッタ(ロバート デニーロ)は、チャンピオンの座にまで登りつめるが、血の気の多さと猜疑心の強さ故、マネジャを勤める弟のジョーイが離れていってしまう。引退してから自分の名を冠したナイト クラブを経営していたラモッタは、遂に妻にも愛想を尽かされ、しかも、未成年の少女を入店させた罪により刑務所に収監されてしまう…

 

ロバート デニーロによるジェイク ラモッタの人物造形は真に迫っている。全盛期の引き締まった躰と、引退後の中年太りの落差は驚きだ。独房の中で己の不甲斐なさに腹を立てたラモッタが壁を打ち続ける様には、鬼気迫る迫力がある。兄を愛しつつも最後は離反するジョーイ役のジョー ペシの演技も見事。しかし、数多いボクシングの場面は全般的に単調だし、前半の展開が若干退屈なのが惜しい。

★★★・・