Nicolas Winding Refn, Drive (2011)
ハードボイルド映画の主人公は、寡黙で、何かに対して忠義を尽くす。その対象は、異性だったり、同性の親友だったりするが、忠義の尽くし方が不器用でありつつ格好いいものだ。
本作の主人公「運転手」の表向きの顔は、自動車の整備工であり、時には映画のカーチェイスのスタントマンも勤める。彼の裏の顔は強盗で、仲間が盗みを終えた後に逃走する際の運転を担当している。
「運転手」は隣人の子持ちの女性と恋に落ちるが、女性には服役中の夫が居た。借金を抱えた夫は、出所後もギャングに付きまとわれ、「運転手」はその夫を救うためにギャングと対決することになる...
愛する女性の夫を助けるために自分の身を危険に晒すというのは、馬鹿げた行動に思えるが、でもこれが格好いい。「運転手」役のライアン ゴスリングが好演だ。ゴスリングの笑い方が良い。顔を崩して大笑いする訳ではないが、かといって薄ら笑いでもない。人妻とその子どもと遊んでいる際に、微かだが、しかし幸せそうな笑みを浮かべる。
設定上、カーチェイスも出てくるが、無闇に長くはない。禁欲的で簡潔な演出も好ましい。
★★★★・