Sam Mendes, Spectre (2015)
クールなボンドと美女、アクション シーン。ボンド映画に必要な要素を本作は備えている。カー チェイスは、ややありきたりな感じがするが、冒頭のヘリコプターの場面には息をのむ。ダニエル クレイグがカッコいいのは相変わらずだが、相手役のLéa Seydouxもとても良い。スカーレット ヨハンソンに似た魔性の女という感じだ。
製作者はボンド シリーズの設定を段々難しくしてきている。前作Skyfallでは、ボンドの身体能力が衰えつつあるという逸話が挿入されていた。本作ではボンドの身体能力は十分だが、別の問題が発生している。コンピュータ ネットワークが発達しサイバー テロが問題となっている現代では、ボンドのような古いタイプの殺し屋は不要と政府が判断し、00部門は廃止されることになった。廃止推進論者が途中で死んだために00部門は廃止を免れたが、製作者は「ジェームズ ボンドのような存在は必要か？」という厄介な問いを投げかけてしまった。また、ボンドの義理の兄弟かつ宿敵だった人物を登場させ、ボンドとの対決の挙句逮捕してしまった。まあ、次作では本作を無視して、新たな設定を取り入れるのだろうが。
★★★★・
