エール!

Eric Lartigau, La Famille Bélier (2014)

フランスの田舎で酪農を営むベリエ家。学校に通いながら家業を手伝う娘のポーラ(Louane Emera)は、音楽教師に歌の才能を見出され、国営ラジオのオーディションを受けるよう勧められる…

ポーラの両親が聾唖者だという設定が良い。手話通訳も務めるポーラに見放されたと感じた両親は、ポーラのパリ行きに猛反対し、ポーラも一旦は断念する。

そんなある時、ポーラは両親を合唱の発表会に招待する。両親は歌が聴けない。監督は音量を絞って、しばし映画は無音となり、ポーラ達の口の動きだけが観客に見える。歌が終わった後の観客の拍手を見て、両親はポーラの歌が観客に感動を与えたことを理解する。この場面では少し涙腺が緩んでしまった。

両親はポーラのパリ行きを許し、オーディションを見学する。ポーラは両親のために、歌いながら手話で歌詞を訳す。

ラスト シーン。恐らくパリでのデビューのために、再度ポーラは実家を後にする。音楽教師の運転するクルマに乗ったポーラは、一旦クルマを止めさせ、家族の元に駆け寄る。抱擁の後、ポーラは再度クルマに乗り込む。娘が離れて行くのは寂しいが、両親も笑顔でポーラの旅立ちを祝福している…

 

監督は大袈裟な演出無しに人情の機微を描くのが上手い。ポーラ役の少女も、複雑な心境を自然に演じている。

★★★★・