山猫

ルキノ ビスコンティの「山猫」復元版を新宿まで観に行った。退色した色を元通りに復元したという触れ込みのものだ。

 

祖国統一戦争の最中,1860年代のイタリアはシチリア島。名門のサリーナ公爵(Burt Lancaster)は,時代が変わりつつあることを理解しつつも,それを心の底から受け入れることができない。しかし,甥のタンクレディ(Alain Delon)が粗野な成金カロージェロ(Paolo Stoppa)の娘アンジェリカ(Claudia Cardinale)と結婚するのを認める。

 

何一つ不自由ない暮らしぶりの公爵一家。彼らは,昼用の燕尾服で夕食会にやってきたカロージェロを陰で嘲笑する。しかし,彼らの時代はいつまで続くかわからない。

 

美しい映画だ。当時を忠実に再現したであろう邸内や風景。そしてLancasterとDelonの気品。特に,舞踏会でアンジェリカとワルツを踊るサリーナ公爵のすらりと伸びた背筋と華麗な足捌きは見事だ。しかし,体制が変わるという不安が,そして時折死に思いをはせる公爵の老いが,美しさに影を落とす。

 

このように見事とも言える映画だが,しかしまた大時代な感覚の映画でもある。3時間強という長さで,現代の感覚からするとテンポが遅い感じも受ける。もう少し短ければもっと良かったのに,と思ってしまった。

★★★・・