リチャード・ニクソン暗殺を企てた男

Niels Mueller, The Assassination of Richard Nixon (2004)

うだつのあがらない家具店の販売員サム(Sean Penn)は、現実との折り合いがつけられず、職を転々としている。成績の上がらない自分に髭をそるよう命じたり、客との駆け引きを教えたりする店のオーナーが不誠実だと憤る。縒りを戻すべく別居中の妻マリー(Naomi Watts)の許を何度も訪ねるが、そのストーカー紛いの行動が益々妻の気持ちを醒めさせていることに気付かない。そんな八方塞がりの状況から抜け出すべく、サムは収益性の悪そうな事業を考案し公的機関に融資を求めるが、中々色よい返事がもらえない。精神的に追い詰められたサムは、悪いのは時の大統領リチャード ニクソンだと確信し、彼の暗殺を決意する…

ショーン ペンの演技が圧巻だ。サムが現実感覚を失っていく様や、妻に偏執狂的に付きまとう様を完璧に演じている。最後に飛行機を乗っ取る直前に緊張の余り顔が痙攣する場面も迫真の出来。ペンの演技を活かす脚本も過不足の無い見事なもの。鮮烈な印象を残す映画だ。

★★★★・

(新宿高島屋タイムズ スクエア)