真夜中のピアニスト

Jacques Audiard, De battre mon coeur s'est arrêté 真夜中のピアニスト(2005)

 

パリの不動産屋―と言っても裏の世界のブローカーだが―のトム(ロマン デュリス)は,金が全ての非情な世界で生きている。父も同じ世界の住人だが,亡き母はピアニストだった。ふとしたきっかけで亡母のエージェントだった男と出会ったトムは,幼い時代の自分にピアノの才能があったことを男に指摘され,ピアノの練習を再開しオーディションを目指す…

 

金のためなら平気で地上げをするような日々の生活と,仕事には全く役立たないピアノとの間で揺れ動く―ピアノに熱が入りすぎて仕事が疎かになってしまう―トムを,デュリスが好演している。長廻しのカメラから,ピアノが中々上達しない苛立ちや,仕事と仕事仲間に対して感じ始めた微かな違和感が伝わってくる。ストーリーも良く練られており,飽きずに最後まで観られる。

★★★★・

渋谷のPicasso 347