歓びを歌にのせて

渋谷東急文化村でケイ ポラックの『歓びを歌にのせて』(2004)を観た。

 

スウェーデン出身の世界的な指揮者ダニエル ダリウス(Michael Nyqvist)は、心臓病のため演奏活動を中断せざるを得なくなる。故郷の小さな町に戻ったダニエルは、教会の聖歌隊の指導に喜びを見出す。規律の無いアマチュア集団だった聖歌隊は、ダニエルの指導で上達するにしたがってやる気が高まり、ついにはドイツのコンクールに出場する…

 

上達の過程は順調ではない。最初のうちは皆のやる気も低く、ダニエルの熱意も空回りしてしまう。上達しだしてからも、家庭環境の問題、メンバー間の意見の相違や個人的な仲違い、そしてダニエルの人気に対する牧師の嫉妬など、数々の試練が待ち受ける。設定や筋がやや作為的すぎる気もするが、聖歌隊がこれらの試練を乗り越えて上達していく過程、そしてメンバーの感情の揺れの描写がとても旨い。この映画を観ていると、まるで自分が聖歌隊の一員となったかのように、笑ったり、悲しんだり、ハラハラしたりしてしまう。気持ちのいい映画だ。

★★★★・