クラッシュ

ポール ハギス『クラッシュ』

今年のアカデミー賞を3部門で獲得した『クラッシュ』を新宿で観た。

 

ロサンゼルスを舞台に、米国社会の人種差別の実態を描いた映画。社会派の良心的な作品であり、また込み入った筋を手際よくまとめているが、若干リアリティを感じられない部分もある。

 

例えば、白人の地方検事が、黒人の部下の前で、犯罪率を取り上げて黒人を差別するような発言をする場面。白人同士の会話の中で差別的な発言をすることは大いにあるだろう。また、黒人に対して表向きは対等に接していても裏では差別するということも、あっても不思議ではない。でも―僕は米国に住んだことがないのでこの辺りの感覚は間違っているかもしれないが―社会的地位のある白人が、黒人の前で明白に差別的な発言をするなどということが、今時あるのだろうか?この映画には様々な人種差別の場面がでてくる。その内のいくつかは印象的だ。でも、いくつかの場面では、差別が明白すぎて逆にリアリティが感じられなかった。

 

★★★・・