ブルー ベルベット

David LynchBlue Velvet (1986)

異常な犯罪と倒錯した性―この両者の絶妙な配合が、見る者を最後まで捕らえて放さない。

田舎町の大学生ジェフリー(カイル マクラクラン)は、草むらで切り落とされた人間の耳を発見したことから、犯罪に巻き込まれていく。ギャングのフランク ブース(デニス ホッパー)に陵辱されているナイト クラブの歌手ドロシー(イザベラ ロッセリーニ)を助けようとしたジェフリーは、しかしドロシーと肉体関係を持ってしまう。これがブースに見つり、ジェフリーの生命は危険に晒される…

ブースに異常な性交を強いられるドロシーは、一見すると同情すべき被害者に見える。しかしドロシーは警察への通報を拒むばかりか、ジェフリーに対しても異常な性交を求める。倒錯した人格を演じるホッパーとロッセリーニの演技力は恐るべきものだ。そしてジェフリー。一見平凡かつ真面目で、純情な彼女と付き合っているにも関わらず、ドロシーの官能に溺れてしまう。平凡な人格の裏に潜む倒錯した人格。

異常な犯罪と倒錯した性を描いて鮮烈な印象を残すこの作品に物足りない点があるとしたら、その終わり方だろうか。ハッピー エンディングには肩透かしを喰ったような印象を持ってしまう。

★★★★・

 

(WOWOWで録画)