美しく進化したサーカス、とでも表現できようか。
ドラリオンとは、カナダのCirque du Soleil(シルク ドゥ ソレイユ)という劇団のサーカス劇だ。『ドラリオン』という単語自体は、ドラゴンとライオンからなる造語で、東西の文化の融合が主題だそうだ。
演目は、玉乗り、空中ブランコ、トランポリン、ジャグリングなど一般的なサーカスでも観られるものだ。サーカスであるからには、高い身体能力と技巧が前提となる。演者たちは、重力が存在しないかのように軽やかに跳躍し、空中で思い通りの姿勢をとる。
ドラリオンが旧来のサーカスと異なるのは、アクロバティックな動きに現代的で斬新な演出を施している点だ。ロック調やアラブ調の音楽も効果的に使われているが、衣装や照明の色彩感覚が特に素晴らしい。例えば、一組の男女が天井から垂れた布を伝わって一気に落下したり登ったりする演目では、深い青の布が揺れる様が優美だ。
人間の躰のしなやかな動きが、芸術的な演出を得て、更に印象深くなる。
★★★★・
(原宿『ビッグトップ』にて)