ラスト、コーション

Ang Lee, Lust, Caution (2007)

 

舞台は日本占領下の中国。日本の傀儡政権の高官(トニー レオン)を狙うべく、愛国者側が送り込んだ女スパイ(タン ウェイ)は、高官の愛人となることに成功する。暗殺を警戒する高官は常に護衛を付けているが、女スパイに気を許すにつれて警戒が甘くなってくる。いよいよ暗殺決行の時が近づいてきた…

 

女スパイが敵の男に対して「女」を武器に近づくが結局は男を愛してしまう、という有りがちな物語だ。しかし、優れた演出と演技により、本作は陳腐になることを免れ、濃密な恋愛ドラマとなっている。レオンとウェイの憂いを帯びた表情が印象的だ。

 

性行の描写が極めて大胆なのが評判を呼んでいるみたいだが、ここまでやる必要は無かったと思う。これによって、女スパイが高官を愛してしまうという心理面の描写が弱くなってしまったと思う。

★★★・・

(日比谷シャンテシネ)