ポリス再結成公演

伝説は本当に甦るのか?無様な姿を曝しはしないか?杞憂だった。The Policeの再結成公演は、全盛期にも匹敵する見事なものだった。

 

ポリスは最も好きなバンドだったし、スティングのソロも数作目までは愛聴していたが、やがて興味を失ってしまった。スティングはシンクロニシティの頃から喉を痛め始め、ソロになって数作目からは高音の衰えが隠しようもなくなってしまった。それと期を同じくするかのように、彼の曲調は穏やかなものになっていった。成熟した味わいは、それはそれで良かったが、新作が出る度に曲調が「成熟」というより「老化」していくように感じられた。スティングの新作を買ったのは、2001年の"All This Time"(ライブ盤)が最後になってしまった。

 

今回ポリスが再結成し東京公演(2008年2月)も行なうとは知っていたが、失望するような気がして、券を入手する気が起きなかった。公演後にWOWOWで放送された録画を観て、直接足を運ばなかったことを後悔するはめになった。

 

何よりもスティングの声が良く出ているのが嬉しい驚きだ(後半は高音が苦しそうな場面も有ったが)。最初の『孤独のメッセージ』から高音に張りがある。最近のスティングの動静は確認していなかったが、喉の治療でもしたのだろうか?3曲目は何と"Walking on the Moon"。イントロを聴いた瞬間、「本当に唄うのだろうか?キーを下げるのではないか?」と疑ったが、そんなことはなかった。全盛期ほどの金属的な鋭角さこそなかったが、高音の伸びは十分だ。

 

アンディ サマーズが二重顎になっていたのはご愛敬だが、演奏の方はやる気満々で、長めのソロを何回か取っていた。彼は凄く巧いギタリストではないかもしれないが、ちょっとシュールな感じのする演奏がいいアクセントとなっている。

 

スチュワート コープランドのドラミングは全盛期とほとんど変わっていない。乾いた軽めの音質のスネアと細かく刻んだハイハットが、演奏全体にドライブ感を与えている。

 

ポリスの再結成は、単なる同窓会気分や金のために行なったのではなく、高いモティベーションを持ちながら十分にリハーサルを行なったのだろう。サポート ミュージシャンを付けずに、3人で演奏し通したのも潔い。DVDを今後しばしば見返すことになりそうだ。

★★★★★

(WOWOWで録画)