ゴッドファーザー:パート2

Francis Ford Coppola, The Godfather Part II (1974)

金と利権のためなら誰もが裏切りを働く。取引相手はもちろん、手下も、そして兄弟も。誰も信頼できない孤独なマフィアの首領、ゴッドファーザ。彼は裏切り者を冷酷に殺害していく。この映画は、人間の暗部を鋭くえぐり、観客の眼前に突き出す。

父の築き上げたマフィアのコルレオーネ一族を継承したマイクル(アル パチーノ)は、一族の事業を着々と拡大しつつある。マフィア同士の利権争いや裏切り、そして冷酷な制裁が物語の幹を成すが、そこに複数の挿話が盛り込まれる。シチリア移民からマフィアの首領にまで登りつめる父ヴィートー(ロバード デニーロ)のフラッシュバック、弟に後継者の座を奪われて屈折した思いを抱き続ける兄フレードー(ジョン カザール)、そして事業を合法化するという約束をいつまで経っても果たさないマイクルに幻滅して去っていく妻ケイ(ダイアン キートン)。内容が盛りだくさんで、しかも3時間20分という長尺にもかかわらず、散漫なところがない見事な脚本だ。

コッポラの演出や撮影は、恐らく入念に考えられているのだろうが、作為を感じさせない。主役から脇役まで、俳優達が見せる迫真の演技を自然に画面に収めているかのようだ。アル パチーノが演じるマイクル コルレオーネは、極めて淡々と手下に殺人を命じる。そこには罪の意識はもちろん、感情の昂ぶりもない。随所で映し出されるパチーノの、まるで感情が無いかのような表情が忘れがたい。

★★★★★