ロリータ

Stanley KubrickLolita (1962)

 

少女に耽溺する中年男性の哀しさを描いた作品。

 

作家のハンバートは、大学での講義のために、田舎町に下宿する。ハンバートは未亡人の女主人に言い寄られるも、娘のロリータの虜となってしまう。女主人が不慮の事故で亡くなり、ハンバードは晴れてロリータの保護者となるが、デイトもパーティも演劇への出演も許さないという束縛を嫌ったロリータは、ハンバートの下から去ってしまう。後にロリータの居場所と去った経緯を知ったハンバードは、異常な行動に出る...

 

見る前は、この映画は背徳とその快楽を耽美的に描いた作品だと思っていた。しかし、(これが監督の意図かどうか判らないが)この映画からは滑稽な印象を受けた。ハンバートは、偏愛するロリータを他の男に近づけまいとして、彼女を徹底的に束縛する。ロリータを独占しようとすればするほど彼女に嫌われるということが、観客には明らかなのに、ハンバートには判っていない(あるいは判っていても止められない)。状況を冷静に判断できない中年男の偏執ぶりが、滑稽な印象を与えるのだ。

 

監督のクーブリックは、後年、最新の映像技術を取り入れつつも、4:3の画面比に拘り続けた独特な考えの持ち主だ。この作品も、当時既にカラーが可能だったはずなのに、なぜか白黒で撮影している。しかし、ロリータの美しい肌を撮すにはカラーの方が良かったと思う。

★★★・・

(WOWOWで録画)