ゴーストライター

Roman PolanskiThe Ghost Writer (2010)

英国の元首相アダム ラングは、引退後に米国の小さな島に移り住んで、自叙伝の発刊に取り組んでいる。ラングのゴースト ライターが謎の死を遂げた後に、後任として雇われた新しいゴースト ライター(ユアン マグレガー)は、何かが怪しいと感じ、前任者の死因を追求し始める。真相に迫りつつあった「ゴースト」は、自分に尾行が付いていることに気付き、必死に尾行を巻こうとするが...

英国の元首相(モデルはトニー ブレアだろう)が人権侵害で国際刑事裁判所に訴えられて、英国政府がその裁判に協力するという設定には無理があるし、「ゴースト」(本作では彼に名前が与えられていない)が突き止めた真相は突拍子もないものだ。

しかし、本作の魅力は、映像と語り口にある。

舞台設定が秀逸だ。ラングが住んでいる島の荒涼とした感じが、作品の基調を決定している。これが熱帯の楽園だったら、薄気味悪さが出なかっただろう。個々の場面の構図も見事だ。悲劇の予感に満ちているが、先の読めない展開が巧い。

(WOWOW)

★★★★・