L’eclaireur | レクレルール

L’eclaireur(レクレルール)のシェフは天才だ。常識を覆す素材の組み合わせと薪焼きで、見事な料理を生み出している。

場所は代官山の外れ。白を基調とした明るく上品な内装。4卓と半個室という程良い広さ。オープン キッチンで薪焼きの設備が見える。

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アミューズ ブーシュは、ココナッツのジュを冷製の薄いパイナップルの皮に閉じ込めたもの。一口で食べると口の中に爽やかな酸味が広がる。アヴァン デセールみたいな感じもするが、料理の導入部としても出色。f:id:himon-ya:20220130004240j:image

続くフィンガー フードは、白子やセロリに山芋とハーブのソースを合わせており、口の中にネットリとした食感でかつ複雑な味が広がる。薪の微かな香も良い。添えられた米麹の品は不思議な味。

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ロワール産のアスパラガスに、薄くスライスされたパルメザン チーズが纏っており、複雑な食感を生み出している。

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客に配られるメニューには作品番号が振られており、今回は作品4番だ。2021年9月に開店し、半年で4作目なので、シェフはかなりの多作家だ。

続くオニオンスープは作品3番で導入されたが、好評に付き作品4番にも引き継がれているそうだ。煮詰めた玉葱を微かに焦がし、病みつきになるような食感。

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昆布でマリネした帆立貝に、青リンゴやアボカドやバナナが味のアクセントを付けている。帆立貝に酸味を添える手法はしばしばあるが、そこに青リンゴを使い微かな甘味も添えるのが斬新だ。

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続く皿は常識を超越している。温泉玉子に発酵バターやコーヒーで味付けをしている。あり得ないような素材の組み合わせだが、全体が渾然と混ざると、文章で表現できない魅惑的な香りが広がる。

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鰆の薪焼きは、外側が程良く焼けて中が半生という卓抜な火入れ。添えられたソースが二種類というのも珍しい。一つは浅利から、もう一つは茄子から作られており、味の違いを楽しめる。

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肉の薪焼きは、二種類から猪を選んだ。幼い個体なので、硬い感じはせず、程良い噛み応え。

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デセールは、メレンゲのようなショコラの内側にヴァニラのクリーム、その更に内側に苺という組み合わせ。多層な食感を楽しめる。

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食後の飲み物はコーヒーや複数のハーブ ティーから選べる。添えたお茶菓子は、小さいながらもマンゴーの甘い酸味が鮮烈。

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コースの特に前半は、一つの皿の中に様々な素材が意表を突く組み合わせで盛り込まれ、複雑な味わいを生み出している。そこに薪焼きのほのかな香りが深みを与えている。

料理は凄いし、ペアリングも中々良い。ここは再訪したい。

Restaurant L’éclaireur

9/10