珀也 | びゃくや

珀也(びゃくや)は神楽坂の和食店だ。店名は大将の名前かと思ったが、(陽の沈まない)白夜をもじったそうだ。

簡素な内装。8人掛けのカウンターのみという小さな店を二人で回している。ピアノのジャズがBGMとして流れている。品数の少ないコースを頼んだ。

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最初は上質なイクラがご飯の上に載っている。滑らかな食感。

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走りだという銀杏は、上品でビールのおつまみに良い。

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鯛の椀は、蕎麦との組み合わせで、堅実な味。

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鰹の刺身は、辛子や塩で食べるが、これが中々のもの。

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揚げたての茄子の煮浸し。万願寺唐辛子と組み合わせて。素材自体は淡白な味だが、恐らく意図的に出汁を濃いめにしてある。

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鰻は本日最も印象に残った。蒸すのでなく焼いてあり、皮がクリスピーで香ばしい。

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蛸や南瓜の椀。蛸は弾力があるのは良いが、噛み切るのに苦労したので、もう少し薄く切った方が良いと思う。

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最後のご飯には、おかずとして焼いた鮭が添えられているが、意外と量があって、満腹になった。

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大福餅にシャインマスカットを詰めたデザートは、上品な甘さ。

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付かず離れずだが、適度に客達の会話に加わってくる接客は好印象。

コロナ禍の2020年に開店したそうだ。少しずつ客足が伸びてきているのは何よりだ。

8/10

珀也【公式サイト】|神楽坂の日本料理店

Principio | プリンチピオ

5回目の訪問。

Principio(プリンチピオ)は麻布十番のイタリア料理店だ。店内は狭めで気楽な雰囲気だが、料理は素晴らしい。7品のコースで、主菜は3種類の肉から選ぶというシステムだ(主菜に魚介類は無い)。

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突き出しのオリーブは何気ないが美味しい。

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ゴールドラッシュ(トウモロコシの一種)のフロマージュ ブラン。微かな甘みと滑らかな食感。キャビアが塩気を添えている。

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イタリア料理では珍しい鮃のカルパッチョ。粉末状にした青トマトと合わせるという意表を突く調理法だが、この食感の組み合わせが成功している。

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次もイタリア料理では珍しい甘鯛の鱗焼き。鱗のパリパリとした食感が素晴らしい。スープも深い味わい。冬瓜やフィノッキオ(ウイキョウ)との組み合わせも効果的。

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パスタが二品。先ずは冷製のタリオリーニアオリイカの弾力と雲丹の滑らかさとの組み合わせ。唐辛子の辛みやレモンの酸味が複雑な味わいを生み出している。

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タリアテッレは合わせたラグーが深い味わい。

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主菜は3種類から短角牛を選択した。柔らかさよりも適度な噛みごたえを重視している。付け合わせの万願寺唐辛子もいい感じ。

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ドルチェは2種類からマンゴーを選択した。果肉と滑らかなムースの組み合わせが口の中でとろける。

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料理は素材の組み合わせや食感がよく考えられている。自然体の接客にも好印象を抱く。

二人で51,000円。数年前に比べて料金は倍になったが、以前が安すぎたとも言える。

9/10

 麻布十番のイタリア料理店|Principio(プリンチピオ)

 

 

L'ARGENT | ラルジャン

3回目の訪問。

L'ARGENT(ラルジャン)は銀座四丁目交差点に在る。立地も料理も素晴らしい。

内装の基調色は黒と灰色と白。禁欲的な内装に花が華やかさを与えている。現代的な高級感に溢れる内装だ。

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アミューズ ブーシュ的な品が二皿。先ずは、ムール貝をペーストに閉じ込め、焼いた生地で包んだ品。柔らかいペーストと生地の軽い食感の対比が見事だ。

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ゴールドラッシュというトウモロコシの品種から作ったパンケーキみたいな品。白鱒の筋子を添えている。ホッコリとした柔らかい食感。

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子羊のスペアリブという変化球。何と味噌や黒胡椒などで味付けしてある。下世話に寄りながらも洗練とした味わい。

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メレンゲに閉じ込めた牡丹海老は、上品な甘味。胡瓜やディルの青臭さが変化を付けている。メレンゲの食感は儚い。

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フォアグラは普通のそれとは異なる。掛川茶のソースとの組み合わせにより、しつこさを感じさせず、適度にネットリとした味わいだ。

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ここで自家製のパンが出てくる。蒸した上で焼いており、中身はフワフワだが、外側はカリッとしており、単なる添え物でなく、料理としても成り立つようなものだ。

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シェフのスペシャルテだという発酵マッシュルーム。薄切りにした生のマッシュルームを、ソースの上に浮かべている。このソースは発酵させたマッシュルームに卵を混ぜており、香りと食感が良い。

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明石の蛸を揚げた生地で包んだ品。蛸の程よい弾力感と、生地の軽い食感との対比がとても良い。付け合わせのジャガイモは丁寧に漉してある。

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鴨は焼き方が適切で、蜂蜜で少し甘味を付けたソースも美味しい。鴨にオレンジで甘味を付ける手法はしばしば見られるが、蜂蜜で甘味を付けるという手法が斬新。

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スプマンテで覆った、口直しのパッション フルーツ。強烈な酸味と爽やかな甘味。冷やした温度感も適切。

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マンゴーのデセールは、果肉、アイスクリーム、ソースそして下に敷いたフレンチ トースト風の生地の多重奏。

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食後のお茶の際にはテラスに移動した。対角線上に和光の時計塔が見える景色は贅沢だ。

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料理は全般的にプレゼンテーションが練られており、素材や食感の対比が良く考えられている。現代的に軽くても印象に残る味だ。接客は親しさを感じさせつつもプロフェッショナル。

立地、内装、料理、接客の全てが高い水準にある店だ。

10/10

Restaurant L'ARGENT | ラルジャン 銀座発信のモダンフレンチレストラン

 

 

 

 

天よこた

天よこたは、 天冨良よこ田の創業者の息子が開いた店だ。開店して2年ほどだが、人気がかなり高く、夜の2回転制だが予約を取りにくい。店内は8人掛けのカウンターのみ。

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最初に供された蛤の出汁が素晴らしく、その後への期待が高まる。

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醤油に漬けた牡丹海老は、上品な甘みが素晴らしい。

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その後は天麩羅となるが、品数が多いので、全般的な感想のみ。海老、烏賊、キス、 穴子などの定番に加えて、髭付きのとうもろこしやマッシュルームなどの変り種も供される。衣は薄く、揚げ方はとても軽くて精妙。全て美味しい。塩かカレー粉か天汁で食べるが、個人的には、魚は塩かカレー粉で、茄子などの野菜は天汁で食べるのが良いと思った。

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最後は天丼か天茶だが、僕は天丼を選んだ。少し甘いタレで締めくくり。

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開店して2年経ち、店主の横田氏には貫禄が付いてきた。客に対して冗談を言う余裕も出てきている。名人への道を歩み始めたと感じる。

9/10

天よこた Ten-yokota | 季節の天ぷらコース 江戸前天ぷら 麻布十番

 

XL Neo Bistro & Wine Bar

 XL Neo Bistro & Wine Barは銀座の気軽なワイン バー。バーと銘打っているが、下戸でも歓迎とのこと(連れが下戸なので事前に確認しておいた)。カウンターとテーブルが有り、我々はカウンターに座った。

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料理はアラカルトと数種類のコースの両方が有り、我々はアラカルトを選んだ。ワインはフランスだけでなく、新世界のものも充実している。ボトルも数多くあるが、グラスの選択肢も多い。

パテ アンクルートは凝縮された旨み。パイと肉との間に挟まれた煮凝りも効果的。

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海の幸のスープ ド ポアソンは、ムール貝甲殻類やズッキーニなど。具の存在感が強く、スープは少な目だが、サフランの味付けが良い。

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鴨は上質で、様々な野菜が味に彩りを添えている。

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クレープはオレンジのソースが爽やかな酸味。

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ワインは新世界主体でグラスで選んでもらったが、満足した。

料理は、奇を衒うことのない王道を行くもの。接客は丁寧。ワイン主体の楽しみ方も、料理主体の楽しみ方も、どちらも可能。銀座という立地を鑑みると、料金は割安に感じる。

8/10

XL Neo Bistro & Wine Bar

旬恵庵あら垣 | しゅんけいあん  あらかき

旬恵庵あら垣(しゅんけいあん  あらかき)は築地の天麩羅屋。8席のカウンターのみで、客全員が同じ時刻に一斉に食べ始める。

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天麩羅以外の料理が何皿か供されてから、野菜の天麩羅、魚の天麩羅、そしてデザートという流れ。品数が多いので、感想は一部に付いてのみ。

先付けの蛤の冷製茶碗蒸しは、蛤の旨みが濃い。

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鱧の椀は、出汁が見事で潤菜が食感に変化を付けている。エンドウのお凌ぎと併せて。

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天麩羅を揚げる前に、その日の食材がプレゼンテーションされる。

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野菜の天麩羅は、アスパラガスが特に良かった。皮も付けて食べさせるが、火を通りやすくするために、アスパラガスに細かい切れ目を幾つも付けている。カウンターからその様子が見られるが、下ごしらえにかなり手間が掛かっている。

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伏見唐辛子の天麩羅は、思ったほど辛くなく、爽やかな味。

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海老の天麩羅は、自然な甘みが引き出されている。

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大葉を巻いた烏賊の天麩羅は、弾力感が有る。

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穴子の天麩羅は、身が大きく、柔らかな食感。骨煎餅が変化を付けている。

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ここまでの天麩羅は、全般的に揚げ方が軽く、精妙な味。

天丼は、小さな海老が折り重なったような独特の見た目。弾力感が素晴らしい。今までとは一転して、タレが濃厚な味を生み出しているが、この変化が効果的。

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デザートの黒糖のプリンは、少量ながら濃厚で、印象的な締め括りとなった。

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前菜も上質で、天麩羅の揚げ方は精妙。大将は、饒舌ではないが、適度に客に話しかけてくれる。良い店だと思う。

旬恵庵 あら垣(しゅんけいあん あらかき)

8/10

 

Mark’s Tokyo

Mark’s Tokyoは、目黒駅から目黒川に向けて歩いて行ける距離にある。8人掛けのカウンターとテーブル2卓の店をシェフを含めて3人で回している。我々はカウンターに座った。

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シェフの自己紹介によれば、シェアは日本人とイタリア人のハーフで、かつアメリカで生活していたので、幾つかの国の影響を受け、かつ日本の食材を使った料理を供している。お任せのコースにした。

野菜のスープは印象的だった。白菜やキャベツを丁寧に漉している。出汁は昆布にドライトマトを加え、微かな酸味を湛えている。オリーブオイルや塩がアクセントを付け、味の組み合わせが良く考えられている。

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帆立貝はやや深めの火入れ。アラレや甘夏など意外な素材で食感に変化を付けている。

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フェトチーネは、腰を残して茹で方で、空豆やトウモロコシで爽やかな味付け。

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豚のローストは素材が上質。付け合わせのマッシュポテトは丁寧に漉してある。

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アイスクリームは堅実な味。

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お勧めされた目黒区のクラフトビールは、とても美味しかった。ワインはカリフォルニア産が多そう。

カウンターに座ると、シェフが丁寧に料理を説明してくれる。語り口が料理への愛を感じさせる好青年だ。

8/10

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