旬恵庵あら垣(しゅんけいあん あらかき)は築地の天麩羅屋。8席のカウンターのみで、客全員が同じ時刻に一斉に食べ始める。
天麩羅以外の料理が何皿か供されてから、野菜の天麩羅、魚の天麩羅、そしてデザートという流れ。品数が多いので、感想は一部に付いてのみ。
先付けの蛤の冷製茶碗蒸しは、蛤の旨みが濃い。
鱧の椀は、出汁が見事で潤菜が食感に変化を付けている。エンドウのお凌ぎと併せて。
天麩羅を揚げる前に、その日の食材がプレゼンテーションされる。
野菜の天麩羅は、アスパラガスが特に良かった。皮も付けて食べさせるが、火を通りやすくするために、アスパラガスに細かい切れ目を幾つも付けている。カウンターからその様子が見られるが、下ごしらえにかなり手間が掛かっている。
伏見唐辛子の天麩羅は、思ったほど辛くなく、爽やかな味。
海老の天麩羅は、自然な甘みが引き出されている。
大葉を巻いた烏賊の天麩羅は、弾力感が有る。
穴子の天麩羅は、身が大きく、柔らかな食感。骨煎餅が変化を付けている。
ここまでの天麩羅は、全般的に揚げ方が軽く、精妙な味。
天丼は、小さな海老が折り重なったような独特の見た目。弾力感が素晴らしい。今までとは一転して、タレが濃厚な味を生み出しているが、この変化が効果的。
デザートの黒糖のプリンは、少量ながら濃厚で、印象的な締め括りとなった。
前菜も上質で、天麩羅の揚げ方は精妙。大将は、饒舌ではないが、適度に客に話しかけてくれる。良い店だと思う。
8/10