蛇にピアス

金原ひとみ蛇にピアス

 

話題の芥川賞受賞作を、遅ればせながら読んだ。

 

主人公の女の子ルイは、いわゆるフリーター。後に彼氏となるアマに、スプリット タン(舌ピアスを徐々に大きくしていくことにより、舌先を蛇みたいに分割すること)の魅力を吹き込まれ、自分も挑戦してみる。ボディ ピアス店のオーナーであるシバさんに、舌ピアスと、眼の無い龍の刺青を施してもらい、更には性交もする。アマとシバさんの二人と関係を続けながらも、気力が無く、食欲も無くなり、痩せこけてゆくルイ。しかし、無茶なペースで、舌ピアスの大きさを拡大してゆく。アマが謎の死を遂げた後、ルイは龍の刺青に眼を入れる決心をする...

 

この小説を読んで、「文章が巧いなあ」と感じた。僕自身はピアスも刺青もしていないし、するつもりもない。しかし、ルイの持つ皮膚感覚は良くわかる - 本当はわかっていないのだろうが、わかるような気がする。「文章が巧い」と言っても、洗練されているというのとは異なる。金原ひとみは、生理的な感覚を実に的確に文章にするのだ。この小説で若干不満なのは、終わり方がやや平和過ぎるなところかな。もう少しエクセントリックな結末でも良かったと思う。でも、いい小説だ。

★★★★・