北海道旅行

夏休みは、7月30日(土)から8月6日(土)まで、クルマで北海道を旅行してきた。

仙台から苫小牧までフェリーで行き、その後、洞爺湖積丹(しゃこたん)半島⇒富良野⇒屈斜路(くっしゃろ)湖と廻り、帰りも苫小牧から仙台までフェリーに乗った。北海道まで行くフェリーは、他に茨城県大洗と新潟から出ているが、仙台発のものが一番時間を有効に使える。

フェリーで宿泊するのは初めて。太平洋フェリー「いしかり」号は巨大なフェリーで、7~8階もの高さがある。

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クルマを格納するデックも何層かあり、下の層にバックで降りるため、乗船に30分程度かかる。バイキングの夕食はあまり旨くない。部屋は広くないが、一泊するだけなら十分快適。心配した揺れは、飛行機より若干強い程度で、気持ち悪くなることはなかった。

翌朝、苫小牧港に着き、最初の宿泊地である洞爺湖へ。宿泊先のウィンザー ホテル洞爺にあるミシェル ブラスで昼食をとる。フランスの本店はミシュラン三ツ星。支店はウィンザー ホテル洞爺にあるのみだ。7月初めに夕食を予約しようとしたところ、1ヵ月半先まで予約で埋まっていると言われたので、昼食を予約しておいた。

明るく軽やかな内装。椅子が籐製というのも、高級フランス料理店らしくないが、土地柄を考えると、この方が良い。ウィンザー ホテル自体が小山の上にあり、更にレストランは11階にあるため、洞爺湖の眺めは抜群だ。昼にして正解だったかもしれない。

アラカルトを頼む。前菜の「ガルグイユー」は、約30種類もの温野菜で、ブラスのスペシャリテだそうだ。繊細で優しい味。でも、野菜という素材のせいか、あまり強い印象は残さない。

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主菜は「ヘーゼル ナッツとアニスで味をつけた帆立貝の貝柱」。帆立貝は旨いが、質の良い帆立貝を使えばこの程度の味は出せて当たり前、という気もする。僕の好みからすると、火の通し方はもう少し浅いほうが良かった(中がレアに近いほうが好み)。ヘーゼル ナッツを帆立貝の上にまぶしてあるが、この組み合わせは疑問。

フロマージュはパスしてデセールへ。ブラスのスペシャリテの「クーラン」を頼む。スポンジ状の生地をスプーンで割ると、中から溶けたチョコレートが流れ出るという趣向。この手のデセールとしては、標準な味。

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全体的にそこそこ旨いが、三ツ星の凄さは感じられなかった。フランスの本店はどんな味だろう。二人で、シャンパーニュ1杯と白ワイン(シャサーニュ モンラッシュ)1杯で3万円弱。★★★・・

ウィンザー ホテル洞爺は、洞爺温泉の中心街からクルマで15分ほどの小山の上にポツンとある。レセプション(ロビー)は、天井が高く広々としており、華やかな雰囲気。寝室や洗面所も十分な広さで、清潔かつシック。空調も優れている。温度調節が正確で、かつファンの音がほとんどしない。売店はセンスが良く、品揃えも充実している。思わず革のトート バッグを買ってしまった。良いホテルだ。★★★★★

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洞爺湖は観光の目玉となるようなものが余り無い。洞爺温泉は、まるで熱海のような、古臭い感覚の寂れた温泉街だった。ウィンザー ホテルの周りにも何もないので、このホテルに泊まったら、ホテルの用意するアクティビティ(エステ、ゴルフ、乗馬など、結構充実している)を楽しむことが中心となる。我々は、遅めの昼食をとった後は、暫く昼寝して、のんびり過ごした。

夜は洞爺湖の花火大会を見に行った。洞爺湖を走る船から花火を打ち上げるという、変わったやりかたをする花火大会で、この時期は毎日開催しているらしい。その花火を別の船から眺めるという、面白い趣向で、かなり楽しめた。★★★★・

8月1日(月)は積丹(しゃこたん)半島を一周した

洞爺湖⇒神威(カムイ) 岬⇒島武意(シマムイ)海岸⇒美国(びくに)⇒小樽⇒富良野

クルマのドライブの観点からすると、積丹半島の西側は、海を間近に眺められ、気持ちの良いドライブを楽しめる(★★★★・)が、東側はトンネルだらけで詰まらない(★・・・・)。

神威(カムイ)岬

積丹半島の先端の一つ。切り立った崖と、蒼い海のコントラスト。海にポツリと浮かぶ、直立した奇妙な形の岩。上り下りのある細長い岬を15分ほども歩くのは大変だが、それだけの甲斐のある眺めだ。★★★★★

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島武意(シマムイ)海岸

積丹半島のもう一つの先端の一つ。神威岬と同様に、切り立った崖の上から海を眺めることができる。神威岬と異なるのは、海岸まで降りられる点だ。でも、海岸からの眺めはやや平凡。坂は極めて険しいので、崖の上から眺めるだけでも良いかも。

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★★★★・

富久(ふく)寿司

小樽も含めて積丹半島は寿司が名物だそうなので、美国(びくに)という町で寿司を食べてみた。とあるWebサイトで評価の高かった富久寿司で、大漁寿司(2,940円)を頼む。

最初に出てきたトロは、まるで霜降り牛のように脂が多い。特に端の部分は完全な脂身で、しつこくて食べられたものではない。他の寿司のネタも、質は余り高くない。水っぽい感じがして、大味だ。海が近いからといって寿司ネタがいいとは限らない、という好例だ。握りの技術も低い。酢飯が大振りなのは好みの問題だとして、握りが柔らかすぎて、酢飯が崩れてしまう。

★★・・・

小樽

当初小樽に寄るつもりは無かったが、妻が「ガラス器を買いたい」と突然言い出したので、寄ることにした。僕が小樽を訪れるのはこれで3回目だが、有名な運河はどうも印象に残らない(★★・・・)。規模も小さく、単なる水路という感じがしてしまう。北一硝子で、小鉢を買う。

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富良野では、エーデルヴェルメというホテルに泊まった。

富良野スキー場の近く。外観は小奇麗な感じがするが、室内の洗面所と風呂は極めて狭い。大浴場を利用することが前提となっているのだろう。富良野の町の中心から歩くのは無理な距離。かといって、周りに豊かな自然があるというわけではない。日本のスキー用ホテルのある種の典型か。夏に泊まるには、中途半端な感じ。二日目の朝、洗濯をフロントに頼んだのに、夕方帰ってきても洗濯物が放置状態だった。後に支配人から謝罪があったので、まあ許せるが。★★・・・

夕食はホテルの直ぐ傍にあるレストラン&バー「バーバリアン」で。パエリアの米は、スペイン風でもなく、かつ日本風でもない。中途半端に柔らかく、ベタッとしている。食後に頼んだギムレットも甘すぎ。★★・・・

 8月2日(火)は、富良野美瑛(びえい)を廻った。

上富良野ファーム富田はラベンダーで有名な農場。僕がラベンダーを見るなんて、柄でも無いかもしれないが、最近寝つけを良くするために寝る前にラベンダーのアロマを焚いているので、まあ良しとしよう。この時期はラベンダーの盛りで、一面に広がる紫色は、圧倒的な美しさ。★★★★★

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ファーム富田の後は、美瑛(びえい)のいわゆる「パッチワークの路」の辺りを廻った。タバコや(クルマの)スカイラインなどのコマーシャルのロケ地が数多く存在する。特定の地点がどうのこうのと言うより、この辺り全体の風景が印象的だ。広々として、なだらかな傾斜のついた畑は、本州の感覚からすると乾いた感じがする-例えば、畑の緑色も、本州の田んぼの緑に比べて薄い。地平線の起伏が少なく、かつ視界を遮るものが少ないのも、本州との相違点だ。★★★★★

「ケンとメリーの木」(スカイラインのCM) ★★★★・

「赤い屋根のある丘」 ★★★★・

マイルドセブンの丘」 ★★★・・(あずきの花が咲いていたらもっと良かったかも)

四季彩の丘」 ★★★★・

「千望峠」 ★★★・・(確かにいい眺めだが、この辺りでの水準からすると、ごく普通)

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富良野2泊目の夕食は、有名なカレー料理店の唯我独尊で。

名物のソーセージ カレー(1,000円)は、濃く力強い味付けで、かなり辛い。男性的な感じがする。ライスは、カレー粉を混ぜて炊き上げているそうだ。ログ ハウス風の店構えも、いい雰囲気。★★★★・

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8月3日(水)は、富良野から屈斜路湖へ移動する。屈斜路湖に行く道すがら、名物の豚丼のためだけに、帯広に寄る。

豚丼とかちっこ」という店で「塩だれ豚丼」(819円)と「厳選豚丼」(980円)とを頼み、妻と分ける。塩だれ豚丼(★★★★★)は柔らかく、あっさりした味わい。心なしか、牛タンの味に似ているような気もする。タレが染みたご飯も美味。厳選豚丼(★★★★・)は、ロースを使い、若干脂が乗っている。またタレも、鰻のそれに似たやや甘めのもの。こちらの味も中々良い。今回の北海道旅行では、この店の料理が最も気に入った。

8月3日(水)から、屈斜路(くっしゃろ)湖に2泊した。

ホテルは、湖畔の「オーベルジュ レークウッド屈斜路湖

寝室は清潔かつ十分な広さ。しかし、小さなタオルが一人1枚しかないのが惜しい。

ホテルは屈斜路湖に面しており、広い敷地は白樺などの林が生い茂っている。澄んだ水と静謐な雰囲気を湛えた屈斜路湖の傍の林を散策すると、清々しい気分になる。

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オーベルジュ」ということで料理に期待していたが、期待ほどではなかった。アミューズ、アントレ、スープ、魚、肉、デセールと、皿数は非常に多い。魚と肉は、それぞれ一品で主菜となりうる分量のため、全体では食べきれないほどの量がある。その反面、各皿の素材の質は余り高くない。分量をもっと少なくして、その分素材の質を高めるべきだ。また、皿によっては火を通しすぎだったのが残念。

ロケーション: ★★★★★

部屋: ★★★・・

料理: ★★・・・

8月4日(木)朝は、カヌーで釧路川を下った。

ホテルからクルマで10分程度の「リバー&フィールド」という店の2時間コース。

屈斜路湖から流れ出る釧路川の源流7kmを、2時間ほどかけてカヌーで下る。澄んだ水、鬱蒼と茂る木々、静謐な雰囲気。ラフティングが「動」とすればカヌーは「静」だが、両方とも甲乙つけ難い魅力がある。

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★★★★★

カヌーの後で、屈斜路湖近辺をドライブした。

美幌(びほろ)峠屈斜路湖を見下ろせる峠。訪れたときは屈斜路湖の一部に霧がかかっており、幻想的な風景が素晴らしかった。

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★★★★★

今回北海道を訪れた目的の一つが、ミルク ロードという道路をドライブすることだった。日経新聞の土曜日に「Nikkeiプラス1」という別刷りの紙面があり、その1面に「何でもランキング」というコーナーがある。2002年4月27日の特集(いまだに取ってある)は「お薦めドライブコース」だったが、そこで1位だったのが、ミルク ロードだ。大平原を真っ直ぐ走る道で、雄大な景色が眺められるという。この特集以来、いつかはミルク ロードをドライブしてみたいと願っていた。

 

念願かなって訪れたミルク ロードは、屈斜路湖から1時間程度の距離だ。確かに、視界を遮るものが無い大平原の中を、地平線まで一本道が続いている。でも、思ったほど感動しなかった。理由の一つは、僕がワインディング ロード派だからだろう。ステアリング操作がないと、単調に感じてしまうのだ。また、北海道には似たような道路がいっぱいある。ミルク ロードはその中でも特に雄大なのだろうが、ここに来るまでに雄大な景色を散々眺めてきたので、有り難味が薄れてしまったのかもしれない。★★★・・

開陽台(かいようだい)は、ミルク ロードの終端にある展望台。小山の上にあり、360度の広々とした眺望が見事。★★★★・

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8月5日(金)は、ほぼ1日かけて屈斜路湖から苫小牧港まで走った。昼食は経由地の帯広で。

吟寿司 金ちゃんの店

名物の牛トロ寿司を試す。霜降り(もちろん生だ)になっているが、意外とあっさりしている。いい部位を使っているのだろう。「秘伝のみそ」を練りこんでいるそうだが、この相性も非常に良い。牛トロ以外にも、マグロなども食べてみたが、こちらも中々のもの。大将は話好きだが、服の下から胸毛を覗かせているのが、ちょっと気になる。★★★★・

苫小牧港からフェリーに乗り、翌8月6日朝に仙台港に着く。

仙台市街で七夕祭りを見る。東京では七夕は7月に行なわれるが、仙台では8月に行なわれるそうだ。目目抜き通りのショッピング アーケードを鮮やかな飾りが埋め尽くす様が楽しい。

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★★★・・

その後、帰京。仙台から碑文谷の自宅まで5時間半。

旅行全体の走行距離は2,509km、高速道路代は22,950円、ガソリン代は17,208円