郵便配達は二度ベルを鳴らす

Luchino ViscontiOssessione 郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942)

 

近くの本屋で買った500円DVDシリーズで,ヴィスコンティの初期の「傑作」を観た。

 

放浪の旅を続けていたジーノは,道中で立ち寄った酒場の主人ブレガーノの妻であるジョヴァンナと恋に落ちる。ジーノは駆け落ちを説くが,安定した生活を捨てられないジョヴァンナは代わりにブレガーノの殺害を企てる。企ては成功し,二人は晴れて一緒になったものの,定住を嫌うジーノは落ち着かない。そして二人に警察の捜査の手が伸び始める…

 

ヴィスコンティの傑作と言われている作品だが,深みは感じられなかった。ジーノの人物造詣に魅力が無いのが,その大きな原因だ。出会った女性と簡単に恋に落ちたり(しかも会ったその日に寝てしまう),知り合った(男の)香具師と簡単に喧嘩してしまうところなどを見ると,束縛や安定を嫌う純真な漂泊の人というより,単なる女好きで気の短い浅薄な人物という感じがしてしまう。結果として,ジーノとジョヴァンナの劇的な運命にも,感情を揺さぶられることがなかった。

 

★★・・・