ア ニュ

地震後しばらくは外出する気が起きなかったが、気持ちを新たにし、広尾のフランス料理店ア ニュ(a nu retrouvez-vous)で夕食を摂った。ここは去年接待を受けたことがあるが、自腹は初めてだ。

 

地震後半月にも関わらず満席。かなり流行っているみたい。白い壁と焦げ茶色の木を基調とした内装は、有りがちな感じもするが、細部に至るまで完成度が高い。

 

二人ともムニュー ドゥ コンパレゾン(Menu de comparaison)というコースを頼む。コースの内の何品かは、同じ素材を複数の調理法で食べ比べ(comparaison)するという趣向だ。

 

ジャガイモのピュレ トリュフとウズラ卵

Pommes purées, truffes et jaune d’oeuf de caille

これは単品。トリュフと卵の組み合わせを、ウズラで実現しているのが斬新だ。

 

─ カブ ─

長野県大島農園のカブとトリュフ カランケのオリーブオイルの香り

Navet de ferme d’Oshima et truffes, huile d’olive de Calanquet

芯温60℃キュイの聖護院カブと有機野菜のサラダ フォアグラソテーと共に

Salade de navet rôti à 60 degrés et de légumes biologique, sauté de foie gras

蕪の食べ比べの一皿は、調理していない蕪そのもの。素材はいいし周りにトリュフがまぶしてあるものの、少しは手を加えても良かったという気がする。聖護院カブは調度良い湯で加減だ。蕪そのものは味の主張は控えめだが、添えてあるフォアグラがアクセントとなっている。若干こじつけ気味だが、内装の白い壁と焦げ茶色の木との対比を思わせる。

 

─ ハマグリ ─

ハマグリとトマトのグラニ

Palourde, granité de tomates

ハマグリのフリット

Palourde frite

ハマグリの一皿も生の状態だ。ソルベ状にしたトマトの微かな甘味との組み合わせが繊細。一方のハマグリのフリットは、主張のはっきりとした味付けだ。

 

ヒラメのソテ

これは単品。上質なヒラメを絶妙の火加減で調理している。ヒラメの身が虹みたいに光っているのが印象的。

送信者 20110327 a nu

 

本日の鮮魚 アンキモとバルサミコのソース

Poisson du jour, sauce au foie de lotte et au vinaigre balsamique

これも単品。アン肝を入れたスープは上品な味わい。

送信者 20110327 a nu

 

─ 鹿 ─

ゆっくりと火を入れた熟成蝦夷鹿のロティ トリュフのソース

Rôti de chevereuil "Ezo"cuit doucement, sauce aux truffes

本日のアンプロ ヴィザシオン

Chevereuil "Ezo" à l’improviste

鹿対決の一品は、驚くほど柔らかいロティ。レアに極めて近い火入れで、個人的な好みではもう少し火を入れても良かった。もう一品は、鹿で出汁を取ったコンソメ。しっかりとした味ながら臭みは一切無い、見事な出来だ。

 

─ ショコラ ─

ショコラフォンデュ 苺の泡と共に

Chocolat fondu, mousse de fraises

球体のガトーショコラ

Gateau chocolat en boule

ショコラと苺は、味としては定番の組み合わせだが、フォンデュと泡という調理方法の組み合わせが斬新。球体のガトーショコラはかなり濃厚な味付けで、もっと少量でも良かった。

送信者 20110327 a nu

品数がかなり多く、その全てが自分の好みに合致していたわけではないが、全体を通してみると、  後を引く店だ。

二人でシャンパーニュ2杯とドゥミの赤ワインを頼んで42,000円。

★★★★・