Nabeno-ism

2年振り2回目の訪問。窓際の席なら隅田川を挟んでスカイツリーが見えるという素晴らしい立地だ。3階建ての細長い建物で、1階が厨房、2階と3階が客席だ。1階は厨房から受付へ直ぐ出られる動線となっており、到着した際にシェフが挨拶してくれる。我々が通された2階は、4組の客に対し3人の給仕が付いていた。

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アミューズ ブーシュは、地元老舗の雷おこしや最中が、フランス料理として成立している。サングリアとオレンジのガスパッチョは、酸味が爽やかだ。

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二皿目は、蕎麦掻きの歯触りと香りがとても良い。上に乗る具材は、その時々で変わるそうだが、この日の雲丹と山葵の組み合わせも上質。

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三皿目は鮎。鮎の内臓などを使ったソースの苦味が良い。定石通り瓜系の野菜を合わせている。

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四皿目はアオリイカ鉄板焼き。焼いた唐辛子と意外にも合う。トマトやレモン グラスや魚醤を使ったソースは、複雑な構成要素が上手く纏まっている。

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五皿目は焼いた太刀魚。淡白になりがちな素材だが、ソースが素晴らしかった。何とアーティチョークスプマンテにしており、丁寧に漉したジャガイモでトロミを付けて、柑橘類の酸味も加えている。

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デセールの一皿目は、月桂樹(ローリエ)を使ったクリーム。驚くほど滑らかな喉越しだ。

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デセールの二皿目はシブースト。上品さを保ちつつ、適度に濃厚だ。パッション フルーツのソースの酸味も見事。

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ミニャルディーズは惰性で食べがちだが、胡麻を加えたマカロンは、とても美味しかった。

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客に配られるメニューには、各皿の内容が詳細に書かれている(これはWebサイトにも載っている)。これを読むと、各皿とも驚くほどの手間が掛かっている。しかし、仕上がりは作為性を感じさせず、複雑でありながら、素直に美味しいと思える料理だ。

接客は適度な親しさを感じさせつつもプロフェッショナル。

L’Amuse-bouche スパイスとオレンジの香るサングリアのガスパチョ
凍らせたシャインマスカットとミントのエキューム
近隣老舗(大心堂、種亀)とのコラボスナックとアントナン風グリーンオリーヴのマリネ
ホオズキ、ベジョータ・チョリソーとマンチェゴチーズのピンチョス

La Farine de sarrasin
“両国江戸蕎麦ほそ川”の蕎麦粉をソースエミュリュッショネの技法で炊き上げたそばがき、
奥井海生堂蔵囲い2年物昆布のジュレとのアンサンブル、
塩ウニ、ウォッカクリーム、おろしたて天城山葵と共に

L’Ayu
和歌山の清流からの鮎を米粉焼きと6年熟成パテ シャルトリューズを香らせて、
イカとコンコンブルのルーロー ミント風味と

Le Calmar
アオリイカのア・ラ・プランチャ 伏見甘長とうがらしの炙りとピキオス、つるむらさきと共に
いしりと純米酒入りのなめらかなブール・ド・トマト、レモングラスのエキュームを添えて
富山県産烏賊の黒造りと爆(バオ)仕上げの緑ピーマン、
煎りゴマ、ローストアーモンドのコンディモンをのせて

Le Sabre
銚子産太刀魚サラマンドルのみで加熱、プロヴァンス郷土料理「バリグール」のイメージで仕上げた
アロマートとアーティーチョークのジュをエスコート

1er Dessert 

フランス ロワール産『サントモール・ブラン』クレーム・ダンジュに変化させ、
渡辺農園 無農薬栽培 月桂樹のグラスと共に

2em Dessert 

シブースト エヴォリュエ
完熟マンゴーのキャラメリゼ、ソースパッション、爽やかな生姜のグラスとのハーモニー

Café et Mignardises
日本堤 バッハコーヒーと駒形をイメージした小菓子

9/10

http://www.nabeno-ism.tokyo