アルフォンス ミュシャ展

上野の東京都美術館にアルフォンス ミュシャの展覧会を観に行った。

 

ミュシャ(というのはフランス語読みで、母国チェコでは"ムハ"と発音するそうだ)はアール ヌーボーの代表的な画家として有名だが、アール ヌーボー時代の作品のほとんどが、女性をモデルとしたリソグラフだ。実物の作品を観るのはこれが初めてだったが、意外にも、モデルの女性のほとんどが、少女ではなく、恐らく20代後半から30代で、成熟した大人の色気をたたえている。豊かな髪の毛と背景の装飾模様が織り成す華麗なアラベスクに魅惑される。

 

この展覧会は、アール ヌーボー以外の時代も含んだ総数240点の作品を展示しており、大変充実している。下世話なことを言うと、ミュシャが商業的に成功していた時期は短かったようだ。1860年生まれの彼は、30代半ばでポスターなどの商業画家として華々しい成功を収めるが、40代前半になるとアール ヌーボーの流行が廃れてしまう。その後ミュシャは油絵に転向し、母国チェコスラブ民族の歴史などを主題とした作品を生むが、これらは率直に言って魅力に乏しい。母国に対する熱い思いは伝わるのだが... 商業的に成功していた期間が短かったにせよ、その時期の作品が魅力的なことは変わらない。

 

ところで、エミール ガレの展覧会が去年の秋に確かサントリー美術館で行なわれ(こちらは観に行った)、現在江戸東京博物館でも行なわれている(こちらは観ていない)。そして、このミュシャ展だ。時代はアール ヌーボーの気分なのだろうか?

★★★★・