自然とのラディカルな共生-安藤忠雄建築展

安藤忠雄の建築を見ると、しばしば微かな緊張を覚える。打ちっ放しのコンクリートの質感が禁欲的だから、というだけではない。安藤が建築の在り方を徹底的に考え抜いている、その緊張感が伝わってくるのだ。

 

東京、乃木坂の『ギャラリー・間』で、安藤忠雄の建築展が開かれている。最大の見所は原寸大で再現された『住吉の長屋』だ。余りに有名で、写真では頻繁に見かけるが、やはり写真では雰囲気を肌で感じられない。原寸大の模型に足を踏み入れ、改めて安藤の思考のラディカルさを実感した。極小の空間に大胆に中庭を配置し、部屋の間を行き来するには、雨の日でも中庭を通らなければいけない。劣悪な都市環境における自然との共生の仕方-ここにはその究極の形がある。

 

住吉の長屋』に住みたいかと問われれば、返事に窮してしまう。安藤の提示する自然との共生は、安易な便利さや快適さを拒絶する。そのラディカルさに緊張を覚えてしまうのだ。