クロアチア旅行

休暇を1週間とって、クロアチアを旅してきた。アドリア海の沿岸が目的だったが、日本からその日の内に到着するのは無理だ。先ずは首都ザグレブに1泊し、その後スプリットとドブロヴニクに2泊ずつし、そしてウィーンで1泊して東京に戻る旅程にした。

ザグレブ

ザグレブに到着したのは夜遅くだったので、その日は単に寝るだけ。夕食も機内と乗り継ぎのミュンヘン空港で済ました。

翌日、昼にはスプリット行きの飛行機に乗るので、朝の短い時間でザグレブの中心部を廻った。

タクシーでイエラッチ広場へ行き、その後、Katedrala Marijina Uznesenja(聖母被昇天教会)、ドラツ青果市場、聖マルコ教会、石の門と歩き、最後はトラムを乗り継いででホテルに戻る。Zagrebは小さな地方都市で、素朴な感じ。半日あれば十分という感じだ。★★★・・

ドラツ青果市場


聖マルコ教会

石の門

スプリット

スプリットの旧市街は、ローマ帝国ディオクレティアヌス帝が晩年を過ごした宮殿そのものだ。

ディオクレティアヌス帝の像

かつての宮殿跡には現在でも多くの人々が暮らしている(と言っても、殆どの人が観光客相手の商売をしているが)。迷路のように入り組んだローマ時代からの遺跡を、土産物屋やレストランやカフェが埋め尽くしているのを見ると、不思議な感じがする。★★★★・

大聖堂の鐘楼は高さが60メートルもある。手すりと階段の間が空いていて、心許ない。高所恐怖症の僕は情けないことに上まで登りきれなかった。
Hotel President

スプリットで泊まったHotel Presidentは不思議な宿だ。四ツ星ホテルだが、外観やレセプションの周りは余り高級感はない。しかし、部屋は意外なほど広く、しかも自転車のエクササイズ マシンまで備わっている。ベッドは天蓋式だ。だが、内装の素材は安っぽい。全体的に高級感と安物ぽさが、入り混じったチグハグな感じがする。風呂には驚いた。ジャクジー式の風呂だが、部屋から丸見えだ。これは恥ずかしい。Wifiが備わっているが、僕の泊まった部屋では電波が弱すぎ、まともに繋がらなかった。★★・・・

Konoba Marjan 

ムール貝と牛肉のステーキとリゾットを頼んだ。ムール貝は日本で食べるよりは良いが、感心するほどではないし、オリーブ油を大量に使っているのが、僕の好みに合わない。牛肉は脂身が殆どなく、霜降りの好きな人には物足りないだろうが、赤身好きの僕には良い。リゾットは、食感がやや柔らかすぎると感じた。料理の出し方は意外なものだった。頼んだ複数の品を一緒に出すので、食べているうちに料理が冷めてしまう。これはもう一軒の店でも同様だった。この地方の習慣なのだろうか。★★★・・

トロギール

スプリットの2日目は、バスで45分ほどかけて、トロギールという町を日帰りで訪れた。ここもスプリットと同じように、数百年前の街並みがそのまま残っている。スプリットと似た感じもするが、1時間もあれば一通り回れる小さなトロギールの方が、スプリットより落ち着いた感じがして好きだ。例をあげるなら、港に面したカフェから見える光景は、スプリットの場合は大型客船だが、トロギールの場合はクルーザーだ。★★★★・

港に面したRivaというレストランで昼食をとった。蛸のサラダは、オリーブ油を使いすぎだが、イカ墨のリゾットは中々のものだった。★★★★・


スプリット

スプリットに戻ってから、街外れのMarjanという丘に登った。行きはタクシーを使い、帰りは徒歩だ。この中腹にあるVidilicaというカフェは、大した飲み物は置いていないが、眼下に眺めるスプリットの海は絶景だ。昨日は天気が悪くて海が灰色に見えたが、今日は昼から晴れたこともあり、海が青く冴えている。クロアチアの歌謡曲と思しきBGMが若干耳触りだが、海の眺めは飽きることがない。★★★★★

Sperun

ダルマシア地方風の魚介類の煮込みは、アンコウとムール貝などを、オリーブ油と恐らくワインで煮込んでいる。このスープはオリーブ油の味が強いので、沢山は飲めないが、魚の旨味がよく出ていている。イカ墨のスパゲッティは、食感が平凡。デザートのクレープは、まるで米粉を使ったかのような変な食感だった。★★★・・

ドブロヴニク

スプリットからドブロヴニクまではバスで4時間半かかった。風景は楽しめるが、やはり時間が長過ぎると感じた。飛行機にした方が良かったかもしれない。ドブロヴニクのある地方は飛び地になっており、途中でボスニア ヘルツェゴビナの領土を通過する。国境では検問も行われていた。

海洋国家として栄えたドブロヴニクの旧市街は、城壁の内側に石造りの建物が密集している。1991年のクロアチア独立戦争の際に多くの建物が破壊されたが、忠実に復元したそうだ。街並みはスプリットと似た感じもするが、ドブロクニクの方が景観が良い。城壁からの眺めが素晴らしい。城壁は場所によってはかなりの高さがあり、市街を上から見下ろすことになる。旧市街の地形は意外と起伏にとんでいる。なだらかにうねる石造りの壁と赤い屋根。そして透き通った海の青。この色の対比は、一生の思い出となるだろう。城壁からの眺めが余りに素晴らしかったので、初日の夕方と二日目の朝の2回登ったほどだ。ケイブル カーで登った丘からの眺めも絶景。★★★★★。

 

スプリットと比較して、ドブロヴニクの特徴がもう一つある。スプリットは旧市街の外側は中層のコンクリート製の建物が立ち並び、離れたところから見ると、スカイラインに明らかな断層がある。対するドブロヴニクは、旧市街の外側も建物の材質や高さが旧市街と同じで、街並みに統一感がある。港が2箇所あり、大型客船の停まる港が旧市街から離れたところに有るのも良い。

Hotel Bellevue

ドブロヴニクではExelsiorという五つ星ホテルに泊まる予定だったが、オーバーブッキングのため、直前でBellevueという別の五つ星に変更を余儀なくされた。結果的にはこれが正解。Bellevueの建物は、海に臨んだ崖にへばりつくように作られている。レセプションは崖の最上部にあり、その一つ下の階がレストラン。更に下の階が客室で、一番下まで降りると、プライヴェイト ビーチとなっている。僕は利用しなかったが、スパも備えられている。Bellevueという名に恥じず、ほとんどの客室から眼下に美しい海を眺めることができる。泊まった部屋はスタンダード タイプだったので、それほど広くないが、内装はシックで質感が高い。タオルも豊富に揃えてあり、シャンプーなどはロクシタン製だ。★★★★★

ドブロヴニクでは2泊したが、初日の夕食はBellevueのレストランで摂った。室内は天井が高く開放感があるが、我々を含め客の全員が、海を見下ろすテラスを選んでいた。夜なので海ははっきりと見えないが、海の気配を感じながらの食事は気持ちがいい。ただ、夜になると若干寒く、カーディガンが必要だった。前菜は帆立のソテー、主菜は蒸した鯛を選んだ。味は強い印象を残すほどではないが、中々洗練されている。オリーブ油を多用していないのが良い。★★★★・

ドブロヴニクでカヤック

ドブロヴニクの2日目は、カヤックを半日体験してみた。港からフェリーで小一時間ほどの、SIPANという島に渡る。

そこからガイドに付いて、カヤックで二つの島を訪れる。海は美しく、波も穏やかで、この辺りはカヤックに最適だ。ガイドの漕ぐペースが速く、ついて行くのが大変だったが… ★★★★・


Gusta Me 
ドブロヴニクの2日目は、城壁から少し外にあるGusta Meというレストランで夕食を摂った。港を見下ろす位置にテラスがある。ホウレン草とサフランで味付けしたリゾット、そして鱸のソテーの両方とも中々のもの。★★★★・

進んだ観光インフラストラクチャ

スプリットとドブロヴニクは両方とも国際的な観光地だったせいか、経済的に豊かに感じられた。スーパー マーケットの品揃えも充実している。レストランやカフェも鄙びた感じはせず、先進国並みに垢抜けている。細かいことを言えば、クレジット カードのインフラストラクチャが充実している。ATMが至る所に有り、クレジット カードがあれば、簡単に現金を下ろすことができる。また、小さな店でもクレジット カードの与信はオンラインで行われる。即ち、署名をするのではなく、小型端末にカードを挿して暗証番号を入力する方式が広く普及している。更に細かいことを言えば、施設への入場の際に、入場券に印刷されたQRコードOCRで読み取る方式も普及しており、入場券の「半券」を切り取るということがない。日本の地方の観光地より、かなり進んでいるように感じた。レストランやタクシーの料金は、感覚的には日本の半分程度か。

ウィーン

ドブロヴニクから日本への直行便はないので、帰りはウィーンに1泊した。ウィーンはこれが3回目だが、前回は1990年代前半に出張で1泊しただけなので、記憶があまり残っていない。

ホテルに到着したのが17時半位だったので、初日は観光は無し。2日目の朝に、シュテファン寺院と王宮という典型的なコースを1時間半ほどで慌ただしく見て回った。欧州の古い都市の例に洩れず、ウィーンも石造りの建物が多いが、中心部は白い建物が多く、典雅な感じがする。

Karl Platz駅

花屋

ホーフブルク宮殿

Zum Weissen Rauchfangkehrer

初日はZum Weissn Rauchfangkehrerというオーストリア料理店で夕食を摂った。鹿肉のソーセージと、仔牛のシュニッツェルとも、良い味だ。担当した女性の給仕の動作がかなり慌ただしかったので、少し落ち着かない。★★★★・

Hilton, Wien

Hilton Weinは個性の薄いホテルだが、機能的なので特に不満はない。空港までホテルの送迎サービスを利用したが、メルセデス ベンツで40ユーロ。円高なので割安に感じる。ホテルから空港まではクルマで30分程度。これに比べると、成田空港の遠さは、犯罪と思える。