L'ėcrin | レカン

L'ėcrin(レカン)は銀座のフランス料理店だ。老舗だが、数年前に料理長が交代し、古典を踏まえつつも進化した料理を供している。

驚くことに、今時珍しくドア(ウー)マンが居り、到着したら「〇〇様ですか」と声を掛けられた。

数年前に全面改装した店舗は、白や灰色や銀を基調としたシックな内装で、華やかな多数の丸い照明がアクセントとなっている。

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アミューズ ブーシュのトウモロコシのムースは、微かな甘さが上品だ。上に乗った野菜は、一口目は苦いが、数口噛むと甘くなるという斬新な味。掴みは上々。

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冷前菜の、西瓜のガスパッチョと甘海老のパルフェは、出色だった。先ずは見た目が美しい。ガスパッチョは上品な酸味で、甘海老の仄かな甘さとの対比が見事。

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温前菜も印象的だった。運ばれた瞬間にトリュフの香りに魅了される。テットドコション(豚の頭)をパイで包んでいるが、柔らかくも舌に纏わりつくような食感。適度に濃厚なソースも素晴らしく、パンに付けて全部掬った。官能的な一皿。

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魚料理は夏鱈。鱈自体は淡白な味で、素材としては弱いが、ソースが良かった。雲丹と卵黄のサバイヨンのソースは、見目麗しく、かつ深みのある味。添えたフヌイユ(ウイキョウ)もアクセントとなっている。

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肉は二種類から鹿のロティを選んだ。脂の少ない上質な素材で、火入れも秀逸。ビーツや葡萄から取ったソースは軽い食感。

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追加料金で頼んだフロマージュは、状態がとても良く、ソーテルヌと合わせて、陶然とした。

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アヴァンデセールもデセールも、適度に濃厚かつ上品な甘さ。ミニャルディーズは標準的な味。

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料理は古典的でありながら、時代に合わせて若干軽めに仕立てている。各皿とも、素材の組み合わせや食感が良く考えられている。接客はプロフェッショナルでありつつ、客に積極的に話しかけてくれる。良い店だと思う。

8/10

銀座レカン