6回目の訪問。
店名はビストロと名乗っており、シェフとマダムのお嬢さんが走り回っている気楽な雰囲気だが、レストラン並みに凝った料理を供する店だ。アラカルトなので、品選びも楽しい。10席のカウンターが満席だった。
前回と同じく冷前菜として頼んだ「毛がにのジュレとカリフラワー」が素晴らしかった。カリフラワーは二種類の方法で調理している。一つはクリーム ソースで、もう一つは茹でた上で冷やして薄切りにしている。これまた茹でた上で冷やした毛蟹とカリフラワーの食感の組み合わせに陶然とする。
「太刀魚の炭火焼き」。素材自体は淡白だが、スプマンテ状のソースが見事。トウモロコシやオクラが味に変化を付けている。
変化球として頼んだ「青のりと生わさびのリゾット」。リゾットは適度にコシを残した炊き方。わさびは微かな辛味。
「仔牛のカツレツ」は出色だった。上質な仔牛を、中心はレア気味に焼いている。周囲を覆うカツは揚げ方のキレが良く、軽い食感。トマトやパプリカで作ったと思しきソースも素晴らしい。
デセールの「桃とレアチーズ」にも満足した。桃は上品な甘さ。冷製の温度感も良い。
各皿とも何気ない感じながら、食感や温度が良く考えられている。高級食材に頼らずに、シェフの高い技量で美味しい料理を作り上げている。
育児中のマダムの補助として入った女性の給仕も好感が持てる。
9/10