5回目の訪問。
店名はビストロと名乗っており、カウンターのみの店内の雰囲気は気楽だが、レストラン並みに凝った料理を供する店だ。前回の訪問の際にはコロナ禍の状況を受けてコースのみだったが、今回はアラカルトが復活していた。時節柄、客の間にはアクリル板が設置されている。固定客を掴んでいるせいか、満席だった。
冷前菜として頼んだ「毛がにとカリフラワー」が素晴らしかった。カリフラワーは二種類の方法で調理している。一つはクリーム ソースで、もう一つは茹でた上で冷やして薄切りにしている。これまた茹でた上で冷やした毛蟹とカリフラワーの食感の組み合わせに陶然とする。
温前菜として頼んだホワイト アスパラガスは、単純なオランデーズ ソース掛けとは一線を画す。ソースはスプマンテ状になっており、更に揚げてチップスにしたチーズが複雑な食感を生み出している。
桜海老のパスタは、硬過ぎないギリギリの硬さで茹でたスパゲティとグリーン アスパラガスが、サクサクとした桜海老と見事な相乗効果を生んでいる。
主菜のホロホロ鳥は、火入れ的確で、付け合わせの豆から作ったソースもとても良い。
少しきつかったが、追加でスナップエンドウのリゾットも頼んだ。運ばれてきた瞬間にチーズの香りが立ち込める。硬めのリゾットとエンドウの食感も良く、温度を高めに設定しているので、僅かに混ぜたチーズが香るのだ。
デセールの八朔ブリュレは、焦げ目の付け方が完璧で、冷やしたクリームがとろける。八朔の微かな酸味と甘味も良い。
各皿とも、何気ない感じながら、素材も良く火入れなどの技量も高い。食感や温度が良く考えられている。
接客も良い。育児中のマダムは子供を抱えながら奮闘しており、補助として入った女性の給仕も好感が持てる。
9/10